
20世紀を代表するピアニストであったヴィルヘルム・ケンプのもとで学び、あたたかな空気をまとった美しい音色、豊かな情感と構築力をあわせもつゲルハルト・オピッツ。バロック時代の作品から現代音楽まで幅広いレパートリーをもつが、とりわけドイツ、オーストリアの作曲家の作品におけるオピッツの表現は卓越しており、深い分析に裏打ちされた強い説得力をもつ音楽で聴き手を魅了してきた。
今回、戦前のモダニズム建築の代表作として知られる山口・宇部市渡辺翁記念会館の「巨匠の芸術」シリーズで披露するのは、オール・ベートーヴェン・プログラム。「悲愴」「月光」「熱情」の3大ソナタに「テンペスト」も加わった4曲は、ベートーヴェンの初期と中期の代表作であり、高い技術と表現力が求められる。オピッツが追い求めてきた、作品の内包する精神世界を描き出す演奏によってこれらの名曲の内容、そして魅力がさらに深みをもって響いてくることであろう。
文:長井進之介
(ぶらあぼ2026年8月号より)
巨匠の芸術 ゲルハルト・オピッツ ピアノ・リサイタル
2026.10/31(土)14:00 山口/宇部市渡辺翁記念会館
問 宇部市渡辺翁記念会館0836-31-7373
https://www.ube-kaikan.jp

長井進之介 Shinnosuke Nagai
国立音楽大学大学院修士課程器楽専攻(伴奏)修了を経て、同大学院博士後期課程音楽学領域単位取得。在学中、カールスルーエ音楽大学に交換留学。アンサンブルを中心にコンサートやレコーディングを行っており、2007年度〈柴田南雄音楽評論賞〉奨励賞受賞(史上最年少)を機に音楽ライターとして活動を開始。現在、群馬大学共同教育学部音楽教育講座非常勤講師、国立音楽大学大学院伴奏助手、インターネットラジオ「OTTAVA」プレゼンターも務める。
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