「せんくら」こと仙台クラシックフェスティバルも今年で20回目、10月初めの仙台の風物詩としてすっかり定着している。今回も日立システムズホール仙台、太白区文化センター、仙台銀行ホール イズミティ21という3つの施設の計8会場を舞台として、3日間にわたって午前から夜まで77にものぼる多彩な公演が繰り広げられる。

出演者はいつものように幅広い世代におよぶ多数の一流アーティストたち。長年このフェスティバルに出演してきたチェロの長谷川陽子やギターの福田進一、89歳の左手のピアニスト舘野泉といった大ベテランから、初登場となるヴァイオリンの前田妃奈、ピアノの進藤実優、ソプラノの安川みくをはじめとする気鋭の若手たちまで、その顔ぶれは豪華きわまりない。

今回の特徴として、2028年に第10回を迎える仙台国際音楽コンクール(SIMC)の審査委員と歴代の受賞者が多く出演することが挙げられよう。「せんくら」と並んで仙台がクラシック音楽都市であることを証するSIMCが、3年ごとにピアノとヴァイオリンの2部門で開催され、これまで多数の逸材を世界に送り出してきたことは改めて言うまでもない。今回はピアノ部門審査委員の野平一郎と海老彰子、ヴァイオリン部門審査委員の堀正文の3人が「せんくら」に初登場してそれぞれソロを披露する。重鎮ならではの味のある演奏が期待できそうだ。野平の公演では、作曲家でもある彼の視点でドビュッシー晩年の音楽に迫るレクチャーが付くので、通の音楽ファンはたまらないだろう。また堀と野平は初日のオープニングを飾る「せんくら・フェスティバル・ソロイスツ」にも参加してアンサンブルの一端を担うとともに、堀はヴィヴァルディ「四季」の〈春〉のソロも務める。

SIMCの歴代の受賞者はこれまでもしばしば「せんくら」に登場してきた。今回もヴァイオリンの白井圭、青木尚佳、北田千尋やピアノのジュゼッペ・アンダローロ、津田裕也ほか、おなじみの奏者が出演するが、とりわけ注目したいのが2022年の第8回SIMCピアノ部門第1位のルゥォ・ジャチンと第4位のジョンファン・キムがお目見えすることだ。この2人による2台ピアノのプーランクの協奏曲とサン=サーンスの「動物の謝肉祭」(共演は太田弦指揮仙台フィル、谷川俊太郎作の詩の朗読付き)は今年の「せんくら」の公演の中でも特に聴きもののひとつに挙げられよう。SIMCで鮮烈なピアニズムによって聴衆を圧倒したルゥォ・ジャチンのソロ公演も聴き逃がせない。

さらにシエナ・ウインド・オーケストラのメンバーによる「シエナ・スピリッツ」(16名のユニット)や「シエナ・フォレスト」(木管五重奏)など吹奏楽ファン向けの企画がいくつもあり、一方で鈴木優人率いるバッハ・コレギウム・ジャパンはピリオド楽器によるバッハ演奏を披露するなど、アンサンブル公演も充実している。まさに「せんくら」ならではのバラエティに富んだ3日間、名手たちが奏でる様々な音楽の魅力にどっぷり浸かってみてはいかがだろう。
文:寺西基之
せんくら 仙台クラシックフェスティバル2026
2026.10/2(金)~10/4(日) 日立システムズホール仙台(青年文化センター)、太白区文化センター、仙台銀行ホール イズミティ21
問 せんくら事務局(仙台市市民文化事業団内)022-727-1872
https://sencla.com
※フェスティバルの詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。

