
1954年の開館当時「東洋一の響き」と絶賛された極上の音響空間が魅力の神奈川県立音楽堂で、新しいコンサート・シリーズ「朝の音楽堂」が始動する。平日の午前、いま注目のピアニストたちが「今、一番弾きたい作品」を携えて登場し、それぞれの人物像を自ら描き出す。
2026年度は国内外で活躍する3名のピアニストが出演する。最初を飾るのは、ロン=ティボー=クレスパン国際コンクールで優勝および三つの特別賞を獲得、現在はドイツを拠点に活動を展開する三浦謙司だ。近年力を入れて取り組むブラームスの作品から、後期を代表するピアノ曲である「6つの小品」op.118などを披露する。
第2回はエリザベート王妃国際音楽コンクール第3位などの受賞歴を持ち、現在はフランスを拠点に演奏活動と古楽器演奏の研鑽を積む務川慧悟。彼が最も得意とする作曲家であるラヴェルの作品から、とくに人気の高い「亡き王女のためのパヴァーヌ」や超絶技巧がちりばめられた「ラ・ヴァルス」などを演奏予定だ。
第3回には、ドビュッシー国際コンクール第2位の受賞や多彩な演奏活動で注目を集める田所光之マルセルが出演。知られざる名曲の魅力を届けてくれる彼らしく、ライネッケの「クリスマス・ソナチネ」など、独自のプログラムを予定している。
演奏家たちが愛する作品を、親しみやすいトークとともに楽しめる「普段着の音楽会」をコンセプトとしたコンサート・シリーズは、クラシック音楽がもたらす幸せを伝えてくれるはずだ。
文:長井進之介
(ぶらあぼ2026年8月号より)
神奈川県立音楽堂 朝の音楽堂
三浦謙司:In Portrait 2026.9/24(木)
務川慧悟:In Portrait 11/18(水)
田所光之マルセル:In Portrait クリスマス・スペシャル 12/23(水)
各日11:00 神奈川県立音楽堂
問 チケットかながわ0570-015-415
https://www.kanagawa-ongakudo.com
※各公演の詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。

長井進之介 Shinnosuke Nagai
国立音楽大学大学院修士課程器楽専攻(伴奏)修了を経て、同大学院博士後期課程音楽学領域単位取得。在学中、カールスルーエ音楽大学に交換留学。アンサンブルを中心にコンサートやレコーディングを行っており、2007年度〈柴田南雄音楽評論賞〉奨励賞受賞(史上最年少)を機に音楽ライターとして活動を開始。現在、群馬大学共同教育学部音楽教育講座非常勤講師、国立音楽大学大学院伴奏助手、インターネットラジオ「OTTAVA」プレゼンターも務める。
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