藤岡幸夫と東京シティ・フィルの釈迦をテーマとする交響作品のライブ録音。伊福部昭の同じ題材での3度目の作曲で、合唱付の交響頌偈(1989)。第1章はシッダールタが悟りを求めて王城を出るまで、第2章は悪魔との戦いで、様々な煩悩の言葉が飛び交う。第3章は煩悩や思想を超越した境地に至る勝利の讃歌で、藤岡の解釈は聴き応えがある。貴志康一の交響曲(1935)は夭折の天才の最高傑作。ベルリン・フィルを自ら指揮して初演。正義を求める仏陀の戦い、気高く美しい摩耶夫人、地獄のスケルツォ、涅槃に達した美しい心象風景の4楽章構成で、本物の才能を感じさせる。美しい演奏で説得力がある。
文:横原千史
(ぶらあぼ2026年3月号より)
【information】
CD『伊福部昭:釋迦、貴志康一:仏陀/藤岡幸夫&東京シティ・フィル』
伊福部昭:交響頌偈「釋迦」/貴志康一:交響曲「仏陀」
藤岡幸夫(指揮)
東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
東京シティ・フィル・コーア
収録:2025年2月、東京オペラシティ コンサートホール(ライブ)他
スリーシェルズ
3SCD-0078 ¥3056(税込)



