第33回 名古屋クラシックフェスティバル

世界の一流アーティストが名古屋に集結!

 毎年豪華なラインナップが話題の『名古屋クラシックフェスティバル』が今年も開催される。キャッチコピーは「限りなき“本物”への扉」。全9公演にわたって、世界トップレベルのアーティストたちが名古屋の秋を華やかに彩る。
 開幕を告げるのはブルガリア国立歌劇場によるボロディン作曲の《イーゴリ公》(10/17)。《イーゴリ公》といえば「だったん人の踊り」ばかりが有名だが、オペラ本編を劇場で体験できるのは貴重。ボロディンならではのエキゾティシズムやダイナミズムをたっぷりと味わえそうだ。同作はボロディンの急逝で未完のまま残されたこともあり、演出上の工夫の余地がある作品だが、演出家カルターロフは独自の版により説得力のある舞台を作りあげたという。
 ギドン・クレーメル&クレメラータ・バルティカは、「ニュー・シーズンズ」と題した興味深いプログラムを聴かせてくれる(10/24)。テーマは「四季」だが、作品はユニーク。ラスカトフの「四季」からのダイジェスト、ピアソラの「ブエノスアイレスの四季」、フィリップ・グラスのヴァイオリン協奏曲第2番「アメリカの四季」、そして委嘱新作となる梅林茂の「日本の四季」。刺激的な四季の情景が広がりそうだ。
 世界最高峰のチェリスト、ヨーヨー・マのリサイタルも開かれる(10/27)。こちらはむしろ正統派のプログラムといえるだろう。ショスタコーヴィチのチェロ・ソナタやフランクのチェロ・ソナタ イ長調(ヴァイオリン原曲)など、聴きごたえのある曲が並ぶ。
 イルジー・ビエロフラーヴェク指揮チェコ・フィルハーモニー管弦楽団は、“伝家の宝刀”とでもいうべきドヴォルザークの交響曲第9番「新世界より」を演奏する(11/1)。伝統の響きを堪能したい。気鋭ダニール・トリフォノフを独奏に迎えたラフマニノフのピアノ協奏曲第2番も大いに人気を呼びそうだ。
 プラハ国立歌劇場によるヴェルディの《椿姫》では、欧州各地の主要歌劇場で活躍するデジレ・ランカトーレが主役を担う(11/3)。これ以上はないというくらいの名作オペラだけに、120年以上の歴史を持つ名門歌劇場の底力を期待できるだろう。
 マリア・ジョアン・ピリスとアントニオ・メネセスの共演という、実にぜいたくなデュオ・リサイタルも目をひく(11/5)。ベートーヴェンのチェロ・ソナタ第4番と第5番に加えて、バッハの無伴奏チェロ組曲第2番、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第32番といったソロの曲も用意されるのがうれしい。
 現代最高水準のオーケストラを聴きたいなら、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団は必聴(11/9)。指揮のグスターボ・ヒメノ、ピアノのユジャ・ワン、ともに新時代の到来を実感させる俊才がそろう。チャイコフスキーの珍しいピアノ協奏曲第2番と、リムスキー=コルサコフの名曲、交響組曲「シェエラザード」という組合せもおもしろい。
 230年を超えるバレエの名門マリインスキー・バレエは『白鳥の湖』を披露する(11/29)。格調高い舞台になることだろう。
 フェスティバルの掉尾を飾るのは重鎮ゲルハルト・オピッツ(12/5)。ベートーヴェンの「悲愴」、シューマンの「幻想曲」、ブラームスの「ヘンデルの主題による変奏曲とフーガ」など、得意のレパートリーをそろえた。
 本格派のプログラムが並んだ今年の名古屋クラシックフェスティバル。ずしりとした感動を心に残してくれるのではないだろうか。
文:飯尾洋一
(ぶらあぼ + Danza inside 2015年6月号から)

10/17(土)17:00 ブルガリア国立歌劇場《イーゴリ公》
10/24(土)13:00 ギドン・クレーメル&クレメラータ・バルティカ
10/27(火)18:45 ヨーヨー・マ チェロ・リサイタル
11/1(日)14:00 チェコ・フィルハーモニー管弦楽団
11/3(火・祝)16:00 プラハ国立歌劇場《椿姫》
11/5(木)18:45 マリア・ジョアン・ピリス&アントニオ・メネセス デュオ・リサイタル
11/9(月)18:45 ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
11/29(日)17:00 マリインスキー・バレエ『白鳥の湖』
12/5(土)13:30 ゲルハルト・オピッツ ピアノ・リサイタル
愛知県芸術劇場大ホールおよびコンサートホール

公演別チケット:5/30(土)発売
全公演通し券 MY SEAT(S席・A席):発売中
問:中京テレビ事業052-957-3333 
http://cte.jp

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