キーワードは“祖国”
LAフィルのドゥダメル(1981年生)やボストン響のネルソンス(78年)など、近年、若手指揮者の活躍が著しい。日本の楽団も、都響がフルシャ(81年)を、日本フィルがインキネン(80年)を、東京フィルがバッティストーニ(87年)を首席客演指揮者に迎えるなど、次代を担う若い才能の獲得に積極的になっている。2013年から東響の首席客演指揮者を務めるクシシュトフ・ウルバンスキ(82年生)も、インディアナポリス響とトロンへイム響のシェフを兼務し、昨年はベルリン・フィルにデビューするなど、世界が注目する若きマエストロである。
本番だけでなくリハーサルも暗譜で指揮する驚異の記憶力や伝統にとらわれない斬新な解釈が話題のウルバンスキが、最も日本の聴衆に紹介したいと語っていたのは、祖国ポーランドの音楽。ルトスワフスキはその筆頭で、昨年も管弦楽のための協奏曲を取り上げた。今回の交響曲第4番は、作曲者最晩年の傑作。鬼才のタクトが冴えることだろう。そのほかスメタナの連作交響詩「わが祖国」より前半3曲を演奏。09年の東響との初共演時に「新世界」交響曲で成功を収めるなど、彼は東欧音楽を得意とする。
ドヴォルザークのチェロ協奏曲ではタチアナ・ヴァシリエヴァが独奏を務める。ロストロポーヴィチ・コンクール優勝後、国際的に活躍し、現在は、ロイヤル・コンセルトヘボウ管の首席奏者も務める。音楽家としての幅をますます広げつつある彼女の演奏も大いに楽しみだ。
文:山田治生
(ぶらあぼ + Danza inside 2015年5月号から)
第86回 東京オペラシティシリーズ
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