山田和樹が日本フィルと満を持して挑むオール・イギリス・プロ

左:山田和樹 ©Zuzanna Specjal
右:周防亮介 ©JUNICHIRO MATSUO

 長らく日本フィルの正指揮者を務め、多彩なプログラムと演奏で魅了してきた山田和樹。今や日本でもっとも国際的なキャリアを積む若きマエストロが、今年も定期公演に登場する。

 今回は、オール・イギリス・プログラム。これまでも、ウォルトンの2つの交響曲、エルガーの交響曲第1番など、英国作品を多く取り上げてきたが、この国の作品だけでプログラムを作るのは初めてではなかろうか。バーミンガム市交響楽団の音楽監督としての自信の深さも感じられよう。

 演奏会は、エルガーの行進曲「威風堂々」第1番で華やかにスタート。続くヴォーン・ウィリアムズの「揚げひばり」には、ソリストとして周防亮介を迎える。力強さと艶やかさを兼ね備え、それぞれの楽曲への没入度の高さで知られる周防。この牧歌的な作品をどのように表現してくれるのだろう。

 「揚げひばり」は、ジョージ・メレディスの詩に啓発されて書かれた曲。そして、この日のメインとなるエルガーの交響曲第2番の自筆譜にも、パーシー・ビッシュ・シェリーの詩からの一節が記されている。この「めったに、めったに来ない、汝/喜びの精霊よ!」の詩句は、この謎めいた大曲を解釈するのに一つのヒントになるだろう。英雄の調といわれる変ホ長調で書かれたこの交響曲は、エネルギッシュで起伏の大きい冒頭楽章で始まり、葬送を思わせる緩徐楽章、スケルツォ風の楽章を経て、終楽章では穏やかにクライマックスを築く。ぐんと濃厚な音色に彩られたエルガーが聴けそうだ。
文:鈴木淳史
(ぶらあぼ2024年12月号より)

山田和樹(指揮) 日本フィルハーモニー交響楽団
第767回 東京定期演奏会
2025.1/17(金)19:00、1/18(土)14:00 サントリーホール
問:日本フィル・サービスセンター03-5378-5911
https://japanphil.or.jp