
日本人の父とハンガリー人の母のもとに生まれたピアニスト、金子三勇士。6歳で単身ハンガリーに留学、祖父母の家からバルトーク音楽小学校に通い、2001年(11歳)に飛び級で国立リスト音楽院大学特別才能育成コースに入学、16歳で帰国するまで同国で研鑽を積んだ。そんな金子にとって、ハンガリーを代表する作曲家であるリストとバルトークを軸に、モーツァルト、ショパン、バッハなどを織り込んだ「音楽でめぐる欧州の旅」というプログラムは、自身の中から自然に出てきたものなのだろう。
リストとフォーレの「夜想曲」 、ラヴェルとリストの水にちなんだ楽曲、バッハとショパンの「プレリュード」を対比的に並べてみせるなど、細部に至るまでこだわりが光る。もちろんバルトークの「ルーマニア民族舞曲」や、自身が司会を務めるNHK-FM『リサイタル・パッシオ』冒頭のテーマ音楽として使用されている「ミクロコスモス」第151番も。金子の品性とユーモアのあるトークが、さまざまな発見に満ちた欧州の旅に案内してくれるに違いない。
文:原 典子
(ぶらあぼ2024年12月号より)
横須賀芸術劇場リサイタル・シリーズ71 金子三勇士 ピアノ・リサイタル
2025.1/26(日)14:00 横須賀市文化会館
問:横須賀芸術劇場046-823-9999
https://www.yokosuka-arts.or.jp