堤剛、上野通明、北村陽――チェロ界を担う3人が一堂に会す新春のステージ

左より:堤 剛 ©鍋島徳恭/上野通明 ©Seiji Okumiya/北村 陽

 ヴァイオリンより1オクターヴと5度低い音域のチェロは温もりある低音が聴き手を魅了する。チェロを主役とする協奏曲はヴァイオリン協奏曲よりもぐっと数が少なく、1曲聴けるだけでも幸運だが、新年、埼玉会館でのコンサート(休館中の川口リリアホール主催)は2人の若手と巨匠の演奏で名作3曲を一度に聴くことのできる稀有な機会だ。

 チャイコフスキー「ロココ風の主題による変奏曲」は華麗なロココ趣味に彩られた名曲。2004年生まれ、24年9月にエネスク国際コンクールに優勝したばかりの北村陽のフレッシュな演奏が聴きものだ。ショスタコーヴィチの協奏曲第1番でソロを務める上野通明は1995年生まれ。2021年ジュネーヴ国際音楽コンクールで日本人初の優勝を果たした注目株。そしてこの分野の名曲中の名曲、ドヴォルザークの協奏曲のソリストは、わが国が誇る至宝、日本芸術院会員で先日文化勲章を受章した堤剛。共演は現田茂夫指揮の東京交響楽団。チェロ・ファンなら聴き逃せない。
文:萩谷由喜子
(ぶらあぼ2024年12月号より)

ニューイヤーコンサート2025 名曲で綴る新春の贈りもの
2025.1/11(土)15:00 埼玉会館
問:リリア・チケットセンター048-254-9900
https://www.lilia.or.jp