世界的ヴァイオリニスト、コリヤ・ブラッハーのバッハ“無伴奏”リサイタルがふたたび!

©Felix Broede

 ブラッハーが2023年の6月以来、トッパンホールに帰って来る。コリヤ・ブラッハーはベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の第1コンサートマスターに抜擢されたことに始まる輝かしいキャリアを経て、現在ヴァイオリニストとして、また指揮者として世界中の音楽シーンからひく手あまたの演奏家である。

 プログラムはヴァイオリンのための不朽の傑作にして、奏者にとっての試金石でもあるバッハの「無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ」。すでにブラッハーはリサイタルのプログラムにこの曲集を取り上げてきたが、とりわけ前回の来日では、二夜連続の演奏会で全曲演奏を実現している。今回は一夜限りの夕べではあるが、パルティータ全3曲に第1番のソナタが加わるボリュームのあるプログラムとなっている。バッハの「無伴奏」は一流のヴァイオリニストが満を持して挑む曲集であり、それ故その全曲録音は多くの演奏家にとって生涯に一回というのがおおよその指標であろう。ブラッハーはかつてパルティータの第2番と第3番をドイツ語の詩の朗読と組み合わせるというユニークな形で録音しているものの、正攻法の全曲録音は未だにない。が、昨年に続き年明け1月にも「オール・バッハ無伴奏」プログラムを披露することを考えると、いよいよ機も熟したということであろうか。演奏家がヴァイオリン一挺で臨む緊張感に満ちた世界を心から堪能したい。
文:大津 聡
(ぶらあぼ2024年12月号より)

コリヤ・ブラッハー(ヴァイオリン) J.S.バッハ:無伴奏パルティータの夕べ
2025.1/21(火)19:00 トッパンホール
問:パシフィック・コンサート・マネジメント03-3552-3831
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