第30回宮崎国際音楽祭は、音楽監督に三浦文彰を迎え、チョン・ミョンフンが初登場!

 今年30回目を迎える宮崎国際音楽祭が28日に記者懇談会を開催し、総監督の佐藤寿美、新音楽監督の三浦文彰らが登壇した。立ち上げから29年間にわたり音楽祭を牽引してきた徳永二男から三浦文彰にバトンが渡る。

三浦文彰 新音楽監督

 音楽祭の会期は4月20日〜5月18日、関連コンサートを含め16公演が実施される。「伝統の継承」、「アジアを代表する音楽祭」、「コラボレーション」という3つのコンセプトのもと多彩なプログラムが並んだ。大きな目玉となるのは音楽祭最終日に行われるチョン・ミョンフン指揮による30周年記念の第九演奏会。ソリストには日韓を代表する歌手たちが出演する。故アイザック・スターンが提唱しコンセプトでもある「アジアを代表する」の言葉に立ち返り、今回は韓国出身の演奏家を招いているのも特徴だ。チョン・ミョンフン、ソリストのみならず、この音楽祭のオーケストラには、国内のプロオーケストラでコンマスや首席クラスで活躍する一流若手奏者たちに加え、韓国を代表するオーケストラKBS交響楽団の奏者たちも参加する。

 三浦は記念公演について、
「30回という記念すべき回に、大尊敬している指揮者のチョン・ミョンフンさんが来てくださることになりました。フィナーレの公演として、またこれからの10年20年を盛り上げていけるような新たなスタートとしてふさわしく、皆さんに親しまれている『第九』にしました」と語った。

左より:三浦文彰 新音楽監督、佐藤寿美 総監督

 1996年にアイザック・スターンを招聘してスタートした前身の「宮崎国際室内楽音楽祭」当初から“軸”としている室内楽。その“軸”を守り、「伝統の継承」をしていくため、さらなる充実を図った様々な演奏会が行われる。主な公演として、三浦と辻井伸行(ピアノ)によるデュオコンサートのほか、三浦が「素晴らしいチェリスト」と評する韓国のユンソン、さらにはチョン・ミョンフンがピアニストとして出演し、ブラームスのピアノ三重奏曲第1番やシューベルトの「ます」を演奏する。新しいお客様にもきていただきたいという思いも込め、曲を一部分ずつにわけて演奏し、解説や音楽家目線でのトークを交えた「室内楽の秘密」という公演も企画された。

 室内楽公演について三浦は次のように述べた。
「スターンさんが音楽祭に来られていたときに、室内楽は音楽の軸であると仰っていました。僕自身もオーケストラなどと演奏を重ねていくたびに強くそう感じます。日本ではまだ室内楽の演奏会が少ないと思いますが、この音楽祭の素晴らしいラインナップで室内楽を身近に感じていただきたいです」

 そして、AIによる音楽と映像の共演という「コラボレーション」も発表された。ヴィヴァルディの「四季」を季節ごとに異なる4人の作家(映像制作:東京藝術大学大学院映像研究科)によるアニメーションとともに、4人のソリストが演奏をする。AIの技術を活用した「映像同期上映システム」により生演奏とともに映像が変化していくため、最終形がどのようになるかは本番まで未知数だという。

 三浦は次のように決意を語った。
「今年は音楽監督としての1年目、身が引き締まる思いです。宮崎は14歳から毎年必ず訪れていたので第二の故郷でもあります。徳永先生からは『これから新しい世代を宮崎に呼んで、宮崎から世界に発信していってほしい』とお言葉をいただきました。それを肝に銘じ、30年近く続いてきたこの音楽祭を世界に発信していきたいと思っています」

文:編集部
写真提供:宮崎国際音楽祭

【Information】
宮崎国際音楽祭2025
4/20(日)〜5/18(日)
メディキット県民文化センター(宮崎県立芸術劇場) 他
https://www.mmfes.jp/2025/