辻井伸行がApple Storeのイベント「Today at Apple」に登場、生演奏も披露!

 2月12日、Apple 表参道で行われた「Today at Apple」に、ピアニストの辻井伸行が登場した。「Today at Apple」は、Apple Storeで毎日開催される、同社の製品を最大限に活用するためのプログラムを用意した無料のイベント。アーティストをゲストに招き、そのパフォーマンスを披露する機会が定期的に設けられている。

中央:辻井伸行

 同日のイベントも、辻井による生演奏からスタート。ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第29番「ハンマークラヴィーア」第1楽章、先日スタートしたばかりの全国ツアーでも取り上げられるショパンのノクターン第8番などを披露し、満員となった会場の参加者を魅了した。

 その後行われたトークセッションでまず辻井が語ったのは、演奏したばかりの曲目で、専属契約を結ぶドイツ・グラモフォンから昨年11月にリリースした「ハンマークラヴィーア」について。

「耳が聴こえなくなった晩年のベートーヴェンの葛藤や苦しみが随所に感じられる作品です。そうした感情や、それを乗り越えていく楽曲の旅路を、聴いている方にどう届けるか、という点に苦労しました。初めて演奏したのは2009年のヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールで、まだ20歳でした。当時はとにかく弾くのに精一杯でしたが、録音にあたり改めてゼロから勉強し直し、30代を迎えてわかるようになったこの曲の魅力を表現できたのでは、と思います」

 さらに話題はAppleのデバイスやサービスへ。先月、日本でのサービス開始から1年を迎えたクラシック音楽専用のストリーミングサービス「Apple Music Classical」に対しては、「聴きたい曲名やアーティスト名を打ち込むだけで、たくさんの録音からスムーズに検索できるので便利です」とコメント。さらに、同サービスで楽しむことのできる「空間オーディオ」※1については、「まるで生の演奏を聴いているかのような臨場感があります。『AirPods』※2のノイズキャンセリングとあわせることで、外出中でも音楽だけに集中できるので、とてもありがたいです」と、自身の音楽活動でも活用していることを明かした。

※1 立体音響方式「ドルビーアトモス」をベースとした機能で、360度に広がる立体的なサウンドでその場にいるかのような体験ができる。「Apple Music」の一部の楽曲が対応。
※2 Apple社から発売されているワイヤレスイヤホン

 「Apple Music Classical」では、辻井のアルバム『ショパン:ピアノ協奏曲第2番、ノクターン』(ウラディーミル・アシュケナージ指揮、ベルリン・ドイツ響/2018年リリース)の空間オーディオ対応音源の配信も開始された。テクノロジーの発展とともに多様化を辿ってきたクラシック音楽の楽しみ方。その先端の一つを体感する、絶好の機会となりそうだ。

※辻井さんの「辻」の字は、正しくは一点しんにょうです。

文:編集部
写真提供:Apple

Apple Music Classical
https://apps.apple.com/app/id1598433714

※再生には「Apple Music Classical」アプリのダウンロードが必要です
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