愛知の4つのプロオーケストラが合同演奏会を初開催
各楽団のシェフが記者会見に出席

愛知4大オーケストラ・フェスティヴァル2025
ブラームス交響曲全曲演奏会

左より:川瀬賢太郎、竹本泰蔵、角田鋼亮、山下一史

写真提供:名古屋フィルハーモニー交響楽団
文:編集部

 8月31日、愛知県を本拠地とする4つのプロオーケストラ(愛知室内オーケストラ、中部フィルハーモニー交響楽団、セントラル愛知交響楽団、名古屋フィルハーモニー交響楽団)が、それぞれのシェフとともに一堂に会する演奏会「愛知4大オーケストラ・フェスティヴァル2025」を開催する。

 これに先立ち、今月10日、公演会場の愛知県芸術劇場 コンサートホールで記者会見が行われ、タクトをとる4人の指揮者、山下一史(愛知室内オーケストラ音楽監督)、竹本泰蔵(Chubuフィルム・サウンズ・オーケストラ指揮者)、角田鋼亮(セントラル愛知響音楽監督)、川瀬賢太郎(名古屋フィル音楽監督)らが出席した。

 各楽団はこれまでに、アフター・コロナへの対応やホールの減少問題などの現状を踏まえ、持続可能なオーケストラ運営と音楽芸術の振興を目的として、協働の取り組みを進めてきた。本公演はその象徴として企画されたもので、今回が初めての開催。

 プログラムはブラームスの交響曲。各団体が1曲ずつ演奏し、1日で全4曲が取り上げられる。当初、中部フィルの指揮は、芸術監督・首席指揮者の秋山和慶が務める予定だったが、先日の逝去に伴い、代役として竹本が出演することが発表されていた。

 記者会見では、冒頭に秋山への黙祷が捧げられた後、各楽団が演奏する曲目が発表された。

第1番:山下一史 & 愛知室内オーケストラ
第2番:竹本泰蔵 & 中部フィルハーモニー交響楽団
第3番:角田鋼亮 & セントラル愛知交響楽団
第4番:川瀬賢太郎 & 名古屋フィルハーモニー交響楽団

 2022年から愛知室内オーケストラの音楽監督を務める山下は、この公演への期待を次のように語った。

 「愛知室内とは、オーケストラのバイブルともいえるベートーヴェンの交響曲やブラームス、シューマンを集中して演奏しようと、今まさに定期演奏会で取り組んでいます。我々4つのオーケストラはもちろんライバルではあるのですが、ファンを取り合うのではなく、一緒に発展していきたいですし、この企画もそういう意図が込められていると思います。それはとても喜ばしいことで、この企画はずっと続いてほしいです」

 竹本は自身が学生の時から秋山と親交があったことを明かした。

 「私が高校生で神戸にいた頃、秋山先生は大阪フィルの指揮者をやっていらっしゃって、大阪フィルメンバーの先輩方と一緒によく遊んでくださいました。今回、先生に恩返しをするような気持ちで臨みたいと思います。
 私はChubuフィルム・サウンズ・オーケストラの指揮者として、映画音楽を中心に指揮活動をしていますが、オーケストラのサウンドが大好きですしファンを1人でも増やしたい。その想いをブラームスの2番に込めて演奏したいと思います」
中部フィルが映画音楽などを演奏する際の名称

 昨年4月に現在のポストについた角田は、名古屋が地元。この企画への思い入れもひとしおの様子だ。

 「愛知県芸術劇場は、自分を作り上げてくれた大事な場所の一つです。このホールで、素晴らしい皆さんと競演できる。とても感慨深いです。
 ブラームスの3番は、人生の大事な節目に取り上げてきた作品の一つで、ベルリンに留学して最初に海外のオーケストラを指揮したときもこの曲でした。決して派手ではないですが、ブラームスの想いや悟りのようなものがいっぱい詰まっていると思いますし、今のセントラル愛知響の雰囲気にとても合う作品です」

 2023年から現在のポストを担う川瀬。名古屋フィルとは2011年の指揮者就任以来、10年以上共演を続ける間柄だが、意外にもブラームスを取り上げる機会は少なかったという。

 「4つのオーケストラはライバル関係でもありますが、手と手を取り合って、もっともっと盛り上げて発展させていくことがとても重要だと思うので、今回この企画が実現してとても嬉しいです。 
 名古屋フィルとは、1番はご一緒したのですが、2、3、4番とやったことがなかったので、今回4番に取り組めることにも、僕としては非常に気合いが入っています」

 4楽団のパワーを結集した本企画。愛知のオーケストラ熱が、これからさらに盛り上がっていくきっかけとなるだろう。


愛知4大オーケストラ・フェスティヴァル2025「ブラームス 交響曲全曲演奏会」
2025.8/31(日)13:00 愛知県芸術劇場 コンサートホール
 2025.4/1(火)発売

出演
山下一史(指揮) 愛知室内オーケストラ
竹本泰蔵(指揮) 中部フィルハーモニー交響楽団
角田鋼亮(指揮) セントラル愛知交響楽団
川瀬賢太郎(指揮) 名古屋フィルハーモニー交響楽団

プログラム
ブラームス:
 交響曲第1番ハ短調 op.68(愛知室内オーケストラ)
 同第2番ニ長調 op.73(中部フィル)
 同第3番ヘ長調 op.90(セントラル愛知響)
 同第4番ホ短調 op.98(名古屋フィル)

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