「石田泰尚プロデューサー」が始動!
横浜みなとみらいホール2025年度ラインアップ発表会

石田泰尚

 2月6日、横浜みなとみらいホールが記者発表会を行い、2025年度の自主事業ラインアップを発表した。登壇者は同ホール館長の新井鷗子、プロデューサー2025-2027を務めるヴァイオリニストの石田泰尚ら3名。

 新年度の目玉はなんといっても石田のプロデューサー就任。これまでにカウンターテナーの藤木大地、ピアニスト・指揮者の反田恭平がこのポストを務めてきた。石田の任期はこの4月から27年3月末までの2年間。横浜みなとみらいホールは、石田が首席ソロ・コンサートマスターを務める神奈川フィルハーモニー管弦楽団が本拠地としている他、主宰する弦楽アンサンブル「石田組」の旗揚げ公演が行われた会場でもあり、その縁は深い。

 「2001年に神奈川フィルのコンマスに就任して、横浜みなとみらいホールはこれまでで一番多くステージに立ってきたホールだと思います。プロデュースの仕事はしたことがないので、依頼をいただいた時は自分に務まるのかと、とにかくびっくりしました。あと“3代目”っていうのがかっこよくて。
 去年1年間に出演した演奏会は200公演以上で、自分でもちょっと多すぎると感じていますが、この先あえて減らすことはしないと思います。2年間、自分の企画でこのホールを盛り上げたいです」

右:新井鷗子

 先日行われた、2代目・反田との“引き継ぎ式”で発表になった25年度のプロデュース企画は以下の通り。

(1)サロン de ストリングス(平日午後の1時間程度のコンサート)
  2025.6/18(水)、9/24(水)、11/26(水) 大ホール
(2)石田組 年末感謝祭 2025
  2025.12/31(水) 大ホール
(3)石田泰尚&石井琢磨 リサイタル
  2026.3/7(水) 大ホール
(4)弦楽合奏部応援プロジェクト

 会見ではリサイタルで共演する、“TAKU-音 TV たくおん”名義でYouTuberとしても活躍するピアニスト石井琢磨とのエピソードを披露した。

  「去年7月、神奈川フィルにソリストとしていらして、自分がコンサートマスターだったんですけど、そのとき弾かれていた『ラプソディ・イン・ブルー』が本当に素晴らしくて、その後ちょっと喋るようになりました。実は、彼は石田組の新潟公演をわざわざ聴きに来てくれて。多分自分のことが好きなんですよね(会場笑)。それで、何かできたらいいなということで、演奏する曲はまだ決めてないんですけど、すごく楽しみです」

横浜みなとみらいホールならではの公演も

 2020席の大ホールのシンボルとも言えるオルガン、愛称「ルーシー」の壮大な響きを堪能できる公演が多数用意されている。

 6月5日は、日本を代表するバッハ演奏の第一人者、鈴木雅明によるリサイタル。そして11月1日には、ヨーロッパを拠点に活躍する指揮者・作曲家の阿部加奈子が登場し、横浜をテーマに作曲した新作オルガン協奏曲「風の睦び~オルガンとオーケストラのための3章」(横浜みなとみらいホール委嘱作品)が、作曲者自身のタクトとホールオルガニスト・近藤岳により初演される。さらに、オックスフォード・マートンカレッジのオルガニスト、フランソワ・クロートと合唱団によるクリスマス・パイプオルガンコンサートも予定されている(12/17)。100円もしくは1ドルで聴ける30分の「オルガン・1ドルコンサート」(全6公演)、たっぷり浸りたい人向けの「オルガン・1アワーコンサート」は新年度も継続(全3公演)。

 他にも、長年開催を続ける恒例企画もラインナップされている。

 将来を期待される才能を発掘・紹介を目的とし、国際コンクールの入賞歴をもつ若手ピアニストが登場し毎年注目を集めている「横浜市招待国際ピアノ演奏会」(11/16)。43回目となる25年度は、2022年のヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールでジョン・ジョルダーノ審査員長特別賞、サンタンデール国際ピアノコンクールでは第3位に入賞した田所光之マルセルが登場。その他、海外から3名の実力ある若手ピアニストを迎える。

 新作委嘱と、過去の委嘱作品の再演を軸とする「Just Composed」シリーズ。委嘱作曲家の選定には、作曲家の池辺晋一郎、音楽学者の白石美雪に加え、毎年異なる演奏家の計3名があたるというユニークな特長を持つ本企画。25年度の演奏者は、三味線の本條秀慈郎。そして委嘱作曲家にはドイツ・ケルンを拠点に活動する岸野末利加が選ばれた。25年度はシリーズ初の邦楽奏者のみの演奏になるという(26.3/14)。

 また、新年度は新たにコンポーザー制度を新設。2002年生まれの若手作曲家・梅本佑利を2025-27年度のホールコンポーザーとして迎え、9月11日には新作委嘱作品による演奏会を予定している。

 このほか、クリスティアン・ティーレマン指揮ウィーン・フィル(11/10)、チョン・ミョンフン指揮ミラノ・スカラ座フィル(ピアノ独奏:藤田真央、9/23)をはじめとする国内外のトップアーティストも登場する。

写真・文:編集部

横浜みなとみらいホール
https://yokohama-minatomiraihall.jp