東響2024/25シーズンラストはフィンランドの巨匠オスモ・ヴァンスカが締めくくる!

左:オスモ・ヴァンスカ ©Joel Larson
右:イノン・バルナタン ©Marco Borggreve

 オスモ・ヴァンスカが作り出す音楽は、繊細にして強靭。かっちりとした構成の上に、広がりのある音楽を響かせてくれる指揮者だ。フィンランドが生んだ新しい才能と謳われた彼も70歳を超えた。二度にわたるシベリウスの交響曲全集、ベートーヴェンやマーラーの交響曲全集などの録音だけでなく、手塩にかけて育てたラハティ交響楽団との来日、読響や都響への客演で、その密度の高い非凡な演奏は日本のファンにも広く知られている。

 その彼が、東京交響楽団の指揮台に立つ。北欧の序曲、ドイツのコンチェルト、そしてロシアのシンフォニーというプログラムは、ヴァンスカの魅力を多方面から浮き上がらせてくれる。

 ニールセンによる珠玉の名曲、序曲「ヘリオス」を実演で聴けるのは嬉しい。太陽が厳かに昇り、眩い光を輝かせ、そして静かに地平線の彼方へ消えていく様子が、デリケートかつ大胆に描かれる。

 ベートーヴェンのピアノ協奏曲第3番は、イノン・バルナタンが独奏ピアノを担当。大きなスケール感がありながら洗練された音色が持ち味のピアニストだ。ヴァンスカのしっかりと組み立てられた響きのなかで、ピアノがロマンティックに息づくベートーヴェンが期待できそうだ。

 最後は、プロコフィエフの交響曲第5番。ヴァンスカの精緻なアプローチが、オーケストラの機能美をより際立たせてくれよう。さらに、激しいコントラストが作り出す濃密な表現もそこかしこから聴こえてくるに違いない。
文:鈴木淳史
(ぶらあぼ2025年2月号より)

オスモ・ヴァンスカ(指揮) 東京交響楽団
第728回 定期演奏会 
2025.3/29(土)18:00 サントリーホール
川崎定期演奏会 第99回 
2025.3/30(日)14:00 ミューザ川崎シンフォニーホール
問:TOKYO SYMPHONY チケットセンター044-520-1511 
https://tokyosymphony.jp