10年に一度の演奏に瞠目!〜東京春祭〜都響新時代へ、大野和士のベルリオーズ

 この4月、東京都交響楽団(都響)第5代音楽監督に就任した大野和士。シュニトケ、ベートーヴェン、マーラーの作品で音楽監督就任記念公演を終えたばかりの大野が、満を持してベルリオーズの大曲《レクイエム》に挑む。

 ベルリオーズの《レクイエム(死者のための大ミサ曲)》は、その名の通り、常軌を逸した巨大編成のオーケストラで演奏される大曲。
 では、どのくらい巨大なのか?
 ベルリオーズが作曲時に指示したのは、最低でもオーケストラと合唱で約400人(おおければ多いほどよいとされる)、第1ヴァイオリンは最低でも25、そして、ティンパニ8対(奏者10人)、大太鼓2、タムタム4、シンバル10対などなど・・・さらに、ステージ以外で演奏する別動隊として4つのバンダ(それぞれのバンダでトランペット、トロンボーン、チューバなど8人から12人のセットで、トランペット、トロンボーンがステージ上のオケ以外にそれぞれ16人必要!)を設置する。
 これほどの大編成はマーラーの交響曲第8番〈千人の交響曲〉をも遙かに凌ぐもので、同じレクイエムでもモーツァルト、フォーレ、ヴェルディ、ブラームスの作品と比べると遙かに演奏される機会は少ない。

大野和士(c)武藤章
大野和士(c)武藤章

 ちなみに、ぶらあぼのコンサート検索データベースで調べてみても、2003年以降国内では3回しか上演されていない。

●2003/10/05(日) 名古屋市民会館
愛知県合唱連盟・名フィル 特別演奏会 ベルリオーズ生誕200年記念
指/沼尻竜典 独/吉田浩之
●2003/11/25(火)26(水)サントリーホール
読売日響 ゲルギエフ特別演奏会<ベルリオーズ生誕200年記念>
指/ヴァレリー・ゲルギエフ 独/中鉢聡 合唱/キーロフ歌劇場合唱団
●2005/03/14(月)新宿文化センター
新宿文化センター「レクイエム」
指/高関健 演/都響 独/福井敬  合唱/新宿文化センター「レクイエム」合唱団

それ以前に遡っても、手元にある資料によると数えるほどしか演奏されていないのだ。


●1991年9月
エリアフ・インバル指揮都響(インバルの都響初共演)
●1992年7月東京文化会館
若杉弘指揮新日本フィル
合唱/晋友会
●1994年12月10日サントリーホール
小澤征爾指揮ボストン交響楽団日本公演
独/ヴィンソン・コール 合唱/タングルウッド祝祭合唱団
●1998年3月サントリーホール
秋山和慶指揮/東響定期 
独/市原多朗 合唱/東響コーラス 
●2002年12月12日13日NHKホール
シャルル・デュトワ指揮N響定期
独/ジョン・健・ヌッツォ 合唱/国立音楽大学合唱団

 ベルリオーズ生誕200年を記念した2003年に演奏が多かったのは当然としても、この20年間でも数回しか演奏されていない作品ゆえ、今回の演奏会は大野和士と都響が歩む新時代への幕開けという意味でも、文字通り「一期一会」の貴重な機会となる。

■モンテヴェルディ合唱団演奏会から、最初にバンダが演奏する部分(「怒りの日」に続く「妙なるラッパ」(Tuba mirum))

■東京春祭 合唱の芸術シリーズ vol.2
ベルリオーズ 《レクイエム》
〜都響新時代へ、大野和士のベルリオーズ
4/12(日)15:00 東京文化会館

指揮/大野和士
テノール/ロバート・ディーン・スミス

管弦楽/東京都交響楽団
合唱/東京オペラシンガーズ
合唱指揮/レナート・バルサドンナ

S ¥10,300 A ¥8,200 B ¥6,200 C ¥5,200 D ¥4,100 E ¥3,100 U-25 ¥2,000

[当日券]
東京文化会館 大ホール にて13:30より販売
販売席種:S ¥10,300(税込)
※若干枚