インゴ・メッツマッハー(指揮) 新日本フィルハーモニー交響楽団

鬼才ならではの“コア”な選曲

インゴ・メッツマッハー ©K.Miura
インゴ・メッツマッハー ©K.Miura

 2013年の秋、新日本フィルハーモニー交響楽団の「コンダクター・イン・レジデンス」というポストに就任。ベートーヴェンやチャイコフスキーの交響曲から、ワーグナーの楽劇、ベルント・アロイス・ツィンマーマンなどの同時代音楽までを、斬新なアプローチと音響構築で聴かせてくれたインゴ・メッツマッハー。
 4月の定期演奏会に登場して2プログラム(3回)のコンサートを指揮し、ひとまずポストから退く。そのコンサートにマエストロが選んだのは、オーケストラの機能性や多彩な音色がものを言う19世紀後半から20世紀にかけての作品だ。
 4月12日のサントリーホール・シリーズでは、音色実験のようなシェーンベルクの「5つの管弦楽曲」、大編成を要するヤナーチェクの「シンフォニエッタ」、そしてオーケストラの腕試しとなるバルトークの「管弦楽のための協奏曲」を。17日および18日のトリフォニー・シリーズでは、リヒャルト・シュトラウスによる2曲の交響詩に加え、“音響の魔術師、音響のマッド・サイエンティスト”と呼びたくなるエドガー・ヴァレーズの作品が演奏される。しかも名作の呼び声高い「アルカナ」(神秘、奥義などの意味)は日本初演というおまけ付きだ。
 さすがはメッツマッハー、いつでも“ちょっとお騒がせ”なプログラミング。すでに発表されている2015/16シーズンには来演のアナウンスがないだけに(残念!)、この3回は貴重なコンサートになるだろう。
文:オヤマダアツシ
(ぶらあぼ + Danza inside 2015年4月号から)

#539 定期演奏会 4/12(日)14:00 サントリーホール
#540 定期演奏会 4/17(金)19:15、4/18(土)14:00 すみだトリフォニーホール
問 新日本フィル・チケットボックス03-5610-3815
http://www.njp.or.jp