東京都交響楽団が2025年度楽季プログラムを発表

充実のラインナップで創立60周年の節目を刻む

 東京都交響楽団は、2025年度楽季プログラム(2025年4月~26年3月)を発表した。定期演奏会A・Bシリーズ各8公演、定期演奏会Cシリーズ7公演、プロムナードコンサート5公演、都響スペシャル12公演(12月:同一プロ3公演、2月:同一プロ2公演)の計40公演。

 創立60周年の節目となる当シーズン。音楽監督・大野和士の指揮で、ロシア出身の鬼才、キリル・ゲルシュタインを迎えてのブラームスのピアノ協奏曲第2番により幕を開ける。大野はその後、25年に没後50年を迎えるショスタコーヴィチにフォーカス。4月中旬にはヴァイオリン協奏曲第1番(独奏:アリョーナ・バーエワ)を、9月にはヴァイオリン協奏曲第2番(独奏:アリーナ・イブラギモヴァ)とともに、この作曲家の集大成ともいえる交響曲第15番を披露する。シーズンの終わり、26年3月の公演では、こちらも同年没後50年のブリテンの大作「春の交響曲」を選曲。アンドレ・プレヴィン「春遠からじ」、ドビュッシー「春のロンド」と組み合わせた洒脱なプログラムをどのように芽吹かせるか、期待が高まる。

大野和士 ©Rikimaru Hotta

 首席客演指揮者のアラン・ギルバートは、7月にブラームスのシンフォニー全4曲を演奏する。18年のポスト就任以来、都響と積み重ねてきた協働の成果が、交響曲史の金字塔で結実するだろう。終身名誉指揮者・小泉和裕は、6月に芥川也寸志(生誕100年)「オルガンとオーケストラのための『響』」(独奏:大木麻理)、12月にショスタコーヴィチの交響曲第10番と、アニバーサリーの作曲家を軸にした骨太のプログラムで登場。桂冠指揮者のエリアフ・インバルは、新たにスタートした第3次マーラー・シリーズの第2弾として、26年2月、「千人の交響曲」を取り上げる。内外から集結した実力派8人による独唱、新国立劇場合唱団&東京少年少女合唱隊の力強いコーラスとともに、都響のマーラー演奏史に新たな1ページが刻まれる。

左より:アラン・ギルバート ©Rikimaru Hotta、小泉和裕 ©Rikimaru Hotta、エリアフ・インバル ©堀田力丸

 客演陣も話題に事欠かない。日本では東響との数多の名演も印象深いクシシュトフ・ウルバンスキが、ショスタコーヴィチを中心とした選曲で5月の公演に登場。ピアノ協奏曲第2番(独奏:アンナ・ツィブレヴァ)に、交響曲第5番とペンデレツキの「広島の犠牲者に捧げる哀歌」という、いま痛切に響き渡るであろう2曲を組み合わせた。6月に登壇する沖澤のどかは、得意とするストラヴィンスキーから「春の祭典」をメインに据えた。フランク・ブラレイ務川慧悟とのプーランク「2台のピアノのための協奏曲」とあわせて、注目が集まる。ロンドン・フィルの首席客演指揮者、カリーナ・カネラキスは7月の公演で日本デビュー。ラヴェルのピアノ協奏曲 ト長調(独奏:アリス=紗良・オット)、マーラーの交響曲第1番というオケの実力を存分に引き出せる2曲で辣腕を振るう。世界各国の歌劇場で活躍するダニエーレ・ルスティオーニは、7年半ぶりに都響の指揮台に帰還。26年1月の定期Aシリーズでは、ヴェルディ&ワーグナーの序曲を中心としたオペラ・ファン垂涎のプログラムを披露する。

左より:クシシュトフ・ウルバンスキ ©Grzesiek Mart、沖澤のどか ©Felix Broede、カリーナ・カネラキス ©Mathias Bothor、ダニエーレ・ルスティオーニ ©Davide Cerati

 シュロモ・ミンツ(指揮/ヴァイオリン・8月)、庄司紗矢香(ヴァイオリン・11月)、ティル・フェルナー(ピアノ・26年2月)、ゴーティエ・カプソン(チェロ・26年3月)、キット・アームストロング(ピアノ・26年3月)他……と、ソリストも60周年にふさわしい豪華メンバーが集結。聴き逃すことのできない公演が目白押しの、充実したシーズンとなりそうだ。

東京都交響楽団
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