世界のオーケストラ、芸術家からのメッセージ
小澤征爾さんの死を悼み、ゆかりの深かった世界の一流オーケストラが公式ウェブサイトで声明を発表しています。今日は、その一部をご紹介します。29年間ポストを務めたボストン交響楽団のページには、音楽監督のアンドリス・ネルソンスだけでなく、ヨーヨー・マ、ジョン・ウィリアムズもメッセージを寄せています。
＊各団体のウェブサイトから一部抜粋で転載します。自動翻訳による和訳を元にしています。
【ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団】
小澤征爾を悼む
ベルリン・フィル名誉会員、88歳で死去
ベルリン・フィルは、2024年2月6日に88歳で亡くなった名誉会員 小澤征爾を追悼します。私たちのオーケストラにとって、小澤征爾は高く評価される指揮者であったという以上に、その卓越した技術、楽譜に対する完璧な知識、親しみやすく控えめで誠実かつユーモラスな物腰により、1966年のデビュー以来、オーケストラの親しい友人であり仲間でありました。2016年4月に再び彼と音楽を奏でることができたことに感謝するとともに、偉大な指揮者であり素晴らしい人物であった彼に深い哀悼の意を表します。私たちの想いは彼のご家族とともにあります。
彼がベルリン・フィルにデビューしたのは、クラウディオ・アバドとほぼ同時期。両者ともヘルベルト・フォン・カラヤンにより見出され、優れた才能を見抜くマエストロの確かな直感に、マスコミは賞賛の声を送りました。ブザンソン国際指揮者コンクールで優勝してクーセヴィツキー賞を受賞し、カラヤンとレナード・バーンスタインのアシスタントだった小澤征爾は、当時トロント交響楽団の音楽監督に就任してまだ1年で、ザルツブルクで輝かしいデビューを飾ったばかりでした。ベルリン・デビュー後のマスコミによれば、彼の「創造的エネルギー」は素晴らしく、「指揮界のパガニーニ」と称えられました。
小澤征爾は、日本人として初めて世界的な名声を獲得した指揮者です。彼は、東京の桐朋学園で師事した齋藤秀雄から西洋クラシック音楽への深い理解を得ました。デジタル・コンサートホールのインタビューで小澤は、齋藤秀雄に負うところが非常に大きいと語っています。日本に西洋音楽文化の知識がほとんどなかった当時、ドイツ留学経験のある齋藤は、弟子にクラシック音楽のエッセンスを教えました。ヘルベルト・フォン・カラヤンは、代表的なレパートリーの開拓において、誰よりも彼を援助しました。
小澤は29年間ボストン交響楽団の首席指揮者の座にあり、2002年から2010年までウィーン国立歌劇場の音楽監督を務めました。国際的な仕事が多いにもかかわらず、ベルリン・フィルには客演し続けていました。2009年に癌のため予定されていたコンサートをキャンセルし、音楽活動からほぼ撤退する以前は、1シーズンに2回ベルリン・フィルに登壇していました。1982年のベルリン・フィル創立100周年記念コンサート、2008年のヘルベルト・フォン・カラヤン生誕100周年記念コンサート、東京に新しくオープンしたサントリーホールでの初コンサート、1989年のジルヴェスターコンサート、1993年と2003年のヴァルトビューネ・コンサートなど。
2016年4月、小澤征爾は7年ぶりのコンサートを行いました。 病気による衰えをみせながらも情熱に溢れていて、室内楽アンサンブルの演奏の後に、コンサートのプログラムの半分にあたるベートーヴェンの「エグモント」序曲と「合唱幻想曲」を指揮しました。指揮者にとってもオーケストラにとっても感動的な出来事であり、この公演で小澤は名誉会員となりました。小澤征爾にとってベルリン・フィルが特別な存在である理由とは？
「メンバー全員が室内楽奏者のように演奏する。それはとても重要なことです。それがこのオーケストラの伝統を作り上げていると思います」
Berliner Philharmoniker
https://www.berliner-philharmoniker.de
デジタル・コンサートホールでは、2009年5月17日の小澤征爾とのコンサートを無料公開している。
【ウィーン国立歌劇場】
小澤征爾の死を悼む
ウィーン国立歌劇場は、過去60年間における最も重要な国際的指揮者の一人であり、国立歌劇場の歴史の一端を築き上げ、歴史に刻むことに貢献した小澤征爾の死を悼みます。
音楽監督に就任する以前から、1988年の《エフゲニー・オネーギン》でのデビューをはじめ、《スペードの女王》、《ファルスタッフ》、新演出の《エルナーニ》、《イェヌーファ》など、定期的に忘れがたい瞬間を提供してきた。2002年に大病を患うまで、小澤征爾はオペラ座のために精力的に活動してきました。この間、小澤征爾は3世紀にわたる14のオペラを指揮したほか、いくつかのフェスティバル・コンサートを初演およびレパートリー指揮者として指揮しました。また、国立歌劇場への客演でも大成功を収めました。
リハーサルは彼にとって特に重要なもので、関係者全員と熱心に、情熱をもってそれぞれの楽譜に取り組みました。さらに彼は、自身が出演しない作品であっても、常に音楽的な出来事を注意深く追っていました。この控えめながらコンサートやオペラに造詣の深い人物は、劇場の誰もが対話と議論の相手でした。
2003年、小澤征爾とイオアン・ホレンダーは、「子どものための魔笛」プロジェクトを立ち上げました。彼は当時、
「子どもたちに音楽の素晴らしさを伝えるためには、できる限りのことをしなければなりません。公演に来た3,500人の子どもたちのうち、たった1パーセントでも音楽に興味を持ってもらえれば、すでに大きな成果を得たことになるんです」
病気からの回復後、身体的な理由でウィーン国立歌劇場に戻ることができなかったことは、彼にとっても、観客にとっても、劇場のスタッフにとっても痛手でした。
「カリスマ的で、衝撃的で、正真正銘の、無尽蔵とも思えるエネルギーを持った彼は、指揮するすべての作品を細部に至るまで生き抜いた。私にとっては、まるで彼の献身が光り輝いているかのようでした。コンサートホールであれ、オペラの舞台であれ、彼に心を奪われないことは不可能でした」と国立歌劇場総監督のボグダン・ロシュチッチは語っていました。
1935年9月1日生まれの小澤は、ボストン交響楽団の首席指揮者を29年間務め、その他の一流オーケストラの指揮者としても、また世界の最も重要な舞台でオペラを指揮して、聴衆に感動を与えてきました。小澤征爾はまた、若い音楽家と現代音楽へのコミットメントにおいて、模範的であったオーケストラと音楽祭の創設者としても音楽史に名を残すでしょう。
ウィーン国立歌劇場は喪に服し弔旗を掲げます。
Wiener Staatsoper
https://www.wiener-staatsoper.at
【ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団】
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団は、現代の偉大な指揮者の一人である名誉会員、小澤征爾氏の死を悼みます。小澤征爾氏との共演は、1966年のザルツブルク音楽祭から始まりました。
小澤征爾氏とのコラボレーションは、1966年のザルツブルク音楽祭から始まりました。バロックからウィーン古典派、ロマン派の巨匠たち、そして現代に至るまで、信じられないほど幅広いレパートリーを50年にわたって演奏し、現代作曲家のコンサートや初演も行いました。ハイライトは、ウィーン楽友協会の黄金のホールでの2002年ニューイヤー・コンサートで、私たちの芸術的・個人的な親密な絆の証として、2010年に私たちは彼にオーケストラの名誉会員資格を授与しました。私たちとの最後のコンサートでは、2021年秋の日本ツアーの一環として、モーツァルトのディヴェルティメントKV136の緩徐楽章を指揮しました。
ウィーン・フィル楽団長 ダニエル・フロシャウアーの声明
小澤征爾氏と多くの芸術的ハイライトを経験できたことを嬉しく思います。最高の音楽的水準と同時に、音楽文化の宝に対する謙虚さ、仲間との愛情あふれる交流、そして聴衆にも感じられたカリスマ性を特徴とするこの芸術家と長い旅に出られたことは、贈り物でした。彼はウィーン・フィルハーモニー管弦楽団に偉大な芸術的遺産を残しました。友人として、また音楽的パートナーとしての小澤征爾氏がいなくなりとても寂しく思います。私たちの思いは彼のご家族とともにあります」
Wiener Philharmoniker
https://www.wienerphilharmoniker.at
【ボストン交響楽団】
追悼 2024年2月6日
小澤征爾氏に捧ぐ
ボストン交響楽団は、敬愛する桂冠音楽総監督、小澤征爾氏の逝去を謹んでお知らせいたします。
ボストン交響楽団で最も長く指揮者を務め、29年間（1973年～2002年）音楽監督を務めた小澤征爾氏は、2024年2月6日に東京で死去しました。享年88。
1935年に中国の瀋陽で生まれたマエストロ・オザワは、幼い頃から日本でピアノと指揮（齋藤秀雄に師事）を学んだ。1959年、フランスのブザンソンで開催された国際指揮者コンクールで優勝し、音楽界に登場。翌年の夏、コンクールの審査員だったシャルル・ミュンシュBSO音楽監督（当時）からタングルウッドに招かれました。その後、レナード・バーンスタインやヘルベルト・フォン・カラヤンの指導を受け、トロント交響楽団、サンフランシスコ交響楽団、シカゴ交響楽団のラヴィニア音楽祭、そしてボストン交響楽団で指揮者としてのキャリアを積み、1973年にはウィリアム・スタインバーグの後任として同楽団の第13代音楽監督に就任しました。
マエストロ・オザワのBSO在任中のその他の主なハイライトとしては、1979年の画期的な中国ツアー、1994年のオザワにちなんだタングルウッドのオザワ・ホールの開館、1998年の長野冬季オリンピック開会式での6つの合唱団によるベートーヴェン「歓喜の歌」の演奏などが挙げられます。
ボストン交響楽団は、マエストロ・オザワを伝説的な指揮者としてだけでなく、教育やマスタークラスに惜しみなく時間を提供し、後進の音楽家たちの情熱的な指導者としても記憶しています。2002年にボストン交響楽団を離れた後もタングルウッドとのつながりを保ち、TMCオーケストラを率いていくつかの公演を行いました。
親切で思慮深い人道主義者、指揮台でのバレエのような優雅さと天才的な記憶力を併せ持つ音楽の天才（1983年、メシアンの大作オペラ《アッシジの聖フランチェスコ》の世界初演を楽譜なしで指揮した）、そしてボストンとそのスポーツチームの熱烈な愛好家：セイジは世界中のファンにとって、これらすべて、そしてそれ以上の存在だった。彼の遺産は、私たちの集団的、個人的な多くの思い出と、彼の忘れがたい録音を通して生き続けています。マエストロ・オザワのご家族、ご友人、そしてクラシック音楽界に深い哀悼の意を表します。
音楽監督 アンドリス・ネルソンスの声明
「小澤征爾氏の訃報に接し、大きな悲しみを感じています。間違いなく、彼は世界で最も偉大な指揮者の一人であり、ボストン交響楽団は、音楽監督として彼と長く実りある関係を築けたことを光栄に思っています。
指揮者として、またラトビアで育った若い音楽家として、私は小澤征爾の交響曲やオペラ作品の演奏、そして彼の音楽的リーダーシップに大きなインスピレーションを感じてきました。BSOでの彼の目覚ましい録音は、何世紀にもわたる音楽のスタイルやジャンルにまたがり、私が最も深く感銘を受けたもののひとつです。その後、ボストン交響楽団の音楽監督に就任した私は、彼がこの偉大なオーケストラに与えた並々ならぬ影響、とりわけ、30年近くにわたる彼のリーダーシップの下、BSOに加わった信じられないほど才能豊かな奏者たちの存在を痛感するようになりました。指揮だけでなく、彼の音楽に対する妥協のない愛と、共に働く音楽家に対する心からの尊敬は、オーケストラのリーダーシップの偉大な模範です。
私は、セイジが示してくれた優しさと温かさにいつも感謝しています。また、ボストンの街や人々、タングルウッド、そしてボストン・レッドソックスに対する彼の情熱をよく思い出し、感謝しています！ 彼は大きな心を持った音楽家であり、彼の人間性と穏やかな優しさをとても懐かしく思います。私の思いは、この困難な時期にいるセイジの家族と共にあります」
ヨーヨー・マ
セイジにとって、音楽は静寂、つまり真っ白なキャンバスから始まった。そして彼は、世界がかつて見たことも、それ以来めったに見たこともないような方法で、宇宙全体を描き、イラストレーションしたのだ。パイオニアになるのは難しいことだが、彼はそれを優雅にこなし、特にアジア系アメリカ人のアーティストである私にとって、希望とインスピレーションの源となった。彼とコラボレーションすることは、最も深いレベルで直感と感情を交換することでしたが、何よりも私は、セイジが楽しく、親切で、思いやりのある人間であったことを覚えています。
ジョン・ウィリアムズ
20世紀で最も光り輝く音楽家の一人が人生の幕を閉じた。世界は偉大な芸術家を失い、私は大切な友人を失った。
セイジはボストン交響楽団の音楽監督として素晴らしい29年間を過ごした…その数年間、彼は私たちの輝かしいオーケストラに、より幅広いレパートリーと、より高度な技術的な輝きをもたらしてくれた。
彼のご家族にお悔やみを申し上げるとともに、私たちの世界に多くの美と光をもたらしたこの特別な人物の思い出を、私たちはいつまでも大切にしたいと思います。
Boston Symphony Orchestra
https://www.bso.org
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