オメル・メイール・ヴェルバー(指揮) ウィーン交響楽団

躍進著しいマエストロが織りなす芳醇なサウンド

ウィーン交響楽団 ©Julia Wesely groß

 ウィーン・フィルばかりがウィーンのオーケストラではない。1900年に創設されたウィーン交響楽団もまたウィーンの伝統を担ってきたオーケストラだ。歌劇場を本拠とするウィーン・フィルとは異なり、こちらはコンサートのためのシンフォニー・オーケストラ。ブルックナーの交響曲第9番やシェーンベルクの「グレの歌」を初演した歴史を持つ。歴代の指揮者陣にはカラヤン、サヴァリッシュ、ジュリーニ、ロジェストヴェンスキー、プレートルといったそうそうたる名前が並ぶ。

 そのウィーン交響楽団が注目の新鋭、オメル・メイール・ヴェルバーとともに来日する。ヴェルバーはイスラエル出身で、ベルリン国立歌劇場でバレンボイムのアシスタントを務めた後、BBCフィルハーモニック首席指揮者やウィーン・フォルクスオーパー音楽監督、パレルモ・マッシモ劇場音楽監督などを務め、オーケストラとオペラの両輪で活躍している。日本では2010年のサイトウ・キネン・フェスティバルで小澤征爾の代役として《サロメ》を指揮した。

左より:オメル・メイール・ヴェルバー ©Luca Pezzani/
河村尚子 ©Marco Borggreve

 今回の来日公演のプログラムは、ウィーンゆかりの作曲家の名曲を集めた2種類。ひとつはブラームスのピアノ協奏曲第1番(独奏:河村尚子)と交響曲第1番(3/13)。河村とウィーンのオーケストラの共演という点でも大きな聴きものとなる。もうひとつはベートーヴェンの交響曲第8番と第7番(3/14)。伝統の楽団相手にヴェルバーがいかなる手腕を発揮するのか、注目される。
文:飯尾洋一
(ぶらあぼ2024年2月号より)

2024.3/13(水)◎、3/14(木)各日19:00 サントリーホール
問:ジャパン・アーツぴあ0570-00-1212 
https://www.japanarts.co.jp

他公演 
2024.3/15(金) 兵庫県立芸術文化センター KOBELCO大ホール(0798-68-0255)◎
◎=河村尚子