準・メルクル(指揮) 読売日本交響楽団

指揮者の“履歴書”プログラム

準・メルクル

準・メルクル

 準・メルクルが読売日本交響楽団を指揮するのは、意外にも今回が初めて。そのデビュー公演にあたって選んだ曲が興味深い。なぜなら、準・メルクルの“履歴書”が含まれているからだ。シェーンベルクがオーケストレーションした、ブラームスのピアノ四重奏曲第1番である。
 指揮者の個性や特徴を考えるうえで、大きなポイントになるのは、あるオーケストラと継続的な関係を持つ可能性を意識したときに、どんな曲を取り上げるかだ。
 ただ一度の客演のつもりなら、少ない練習で手っとり早く演奏効果の上がる有名曲をやるだろう。しかし、その客演に重要性を感じているときには、自分の特質と長所を楽員と聴衆の双方に示すことができ、同時に、オーケストラの能力と順応性をはかることのできる曲、そのような「指揮者の履歴書」ともいうべき作品を取り上げてくる。
 準・メルクルの場合、それがシェーンベルク編曲のブラームスのピアノ四重奏曲第1番なのだ。1998年にN響に客演した初期に取りあげたときの演奏は、長く語り種になるほどの名演だったし(CD化されている)、リヨンやライプツィヒMDR響のポストを射止めるときにも、この曲で勝負したという。それを読響と演奏することには、はたしてどんな意味があるのか。そして、どんな演奏になるのか。期待と妄想(?)をふくらませて、その日を待とう。前半に置かれたシューマンのピアノ協奏曲では、俊英・金子三勇士と共演。こちらにも大いに注目したい。
文:山崎浩太郎
(ぶらあぼ + Danza inside 2014年12月号から)

第544回 定期演奏会
2015.1/16(金)19:00 サントリーホール
問:読響チケットセンター0570-00-4390
http://yomikyo.or.jp

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