第12回 ヘンデル・フェスティバル・ジャパン 《アレグザンダーの饗宴》

ヘンデルのユニークな“音楽賛歌”


 多様なヘンデルの作品を紹介することを目的に、2003年にスタートしたヘンデル・フェスティバル・ジャパン(HFJ)。12回目となる今回は「ヘンデルの英語の劇場音楽の多様性」をテーマに、数ある劇場作品の中でも特にユニークな存在であるオード《アレグザンダーの饗宴》全2部を全曲上演する。
 ロンドンでのイタリア語によるオペラ活動に限界を感じたヘンデルは、英語によるオラトリオに活路を見出す。しかし、そこに至る過程では、様々な形態の作品が生み出された。そのひとつが「頌歌」ことオード。1736年に初演された《アレグザンダーの饗宴》は音楽の守護聖人である聖セシリアを称える、登場人物の対話を交えない“音楽賛歌”である。音楽を使って自在に人を操る吟遊詩人ティモテウスと、音楽を神聖なものとして扱う聖セシリアを対置。多彩な楽器用法による場面描写と、荘重な曲調が聴きどころだ。
 今回も、HFJ実行委員長でヘンデル研究の第一人者の三澤寿喜が指揮。古楽器集団キャノンズ・コンサート室内管弦楽団は、コンサートマスターに川久保洋子、首席チェロ奏者にも懸田貴嗣と、ヨーロッパの主要アンサンブルでも活躍中の名手を迎える。もちろん、ソプラノの広瀬奈緒ら声楽陣にも実力派が集結し、キャノンズ・コンサート室内合唱団もバックアップ。ステージでは初演時と同様、有名なハープ協奏曲やオルガン協奏曲も併演し、その興奮の再現を目指す。また、ステージに先立つ1月には、三澤が同曲の魅力を語る講演会もある。
文:寺西 肇
(ぶらあぼ + Danza inside 2014年12月号から)

2015.2/13(金)18:30 浜離宮朝日ホール 
問:アレグロミュージック03-5216-7131

講演会 《アレグザンダーの饗宴》の魅力 
2015.1/12(月・祝)14:00 池上ルーテル教会 
http://handel-f-j.org