12月9日より日本ツアーを行っているウクライナ国立フィルハーモニー交響楽団が、12月20日に記者懇親会を行い、指揮者のミコラ・ジャジューラが登壇した。ツアーは全国各地で17公演行われる。
1995年にウクライナのキーウに本拠を置くオーケストラとして設立された同楽団。2005年の初来日の際には、チャイコフスキーの交響曲全6曲とピアノ協奏曲全3曲を3日間で演奏した。今回が9度目の来日公演となる。
指揮者のミコラ・ジャジューラは1996年に音楽監督に就任。会見の冒頭では、まず日本への想いを話した。
「今日1番伝えたいことは、主催者の方への感謝と、ウクライナに厚い支援をしてくださっている日本のみなさんへの感謝です。私は、1987年に東京国際音楽コンクールで入賞したことで、様々なオーケストラと共演することができました。それ以降、日本は私にとって特別な場所となっています」
今回披露されるプログラムのひとつは、ドヴォルザークの交響曲第9番「新世界より」とベートーヴェンの交響曲第9番「合唱付き」という2つの「第九」を取り上げる壮大なもの。いずれも平和への強い願いが込められた選曲になっている。
「戦禍の中、幸い楽団員やその家族は無事ですが、中には従軍している人や家をなくした人、海外に避難した人もいます。今回のツアーに向けての準備も、練習やコンサートの途中に空襲警報がなったらシェルターに逃げて、収まったらまた再開するという状況下で行ってきました。現在は、戦争が始まった時に避難した奏者も戻ってきていて、大半の楽団員がウクライナのキーウに暮らしています。私たちの義務は、こういう状況の中でも音楽を届けることだと信じています」
ロシア音楽の演奏については、芸術としての偉大さを認めたうえで、「侵略が始まって以来、私が指揮しているオーケストラも、他のウクライナのオーケストラも、ロシアの作品を一切演奏しないようにしています。これは私の個人的な立場でもありますが、これからもロシアの曲を演奏しないつもりです」と、言葉を選びながら、自身の見解を真摯に語った。
1月1日の最終公演後は、サーカスとオーケストラがコラボレーションした「シルク・ドゥラ・シンフォニー」のツアーに合流し、1月3日から20日まで全10公演を行う。文京シビックホールをはじめとする全国のコンサートホールで、シベリウス「フィンランディア」などの名曲とともに、腕利きたちがパフォーマンスを繰り広げる。ジャジューラも「サーカスとクラシック音楽という、普段は正反対にあるようなジャンルを組み合わせているので、いろんなお客さんに楽しんでいただけると思います」と意気込みを述べた。
記者懇親会の最後には、楽団員による弦楽合奏とブラスクインテットが披露された。逆境に屈しない熱い想いが込もった演奏に、会場は拍手に包まれた。12月22日に開催される東京芸術劇場での公演にも期待が高まる。
ウクライナ国立フィルハーモニー交響楽団公演(12/22、東京芸術劇場)は
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「シルク・ドゥラ・シンフォニー」公演紹介はこちら。
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【Information】
ウクライナ国立フィルハーモニー交響楽団
2023.12/22(金)19:00 東京芸術劇場 コンサートホール
指揮:ミコラ・ジャジューラ
問:テンポプリモ 03-3524-1221
https://tempoprimo.co.jp
他公演
12/23(土) ふくしん夢の音楽堂(福島市音楽堂)(024-531-6221)
12/24(日) 長野/レザンホール(塩尻市文化会館)(0263-53-5503)
12/25(月) 山口/シンフォニア岩国 コンサートホール(0827-29-1600)
12/26(火) 熊本市民会館 シアーズホーム 夢ホール(コモド・アート・プロジェクト096-288-4635)
12/27(水) アクロス福岡シンフォニーホール(092-725-9112)
12/29(金) 山口市民会館(083-923-1000)
12/31(日)、2024.1/1(月) 大阪/ザ・シンフォニーホール(06-6453-2333)
シルク・ドゥラ・シンフォニー 来日ツアー
2024.1/3(水)14:00 所沢市民文化センターミューズ アークホール
1/5(金)18:30 文京シビックホール
1/7(日)15:00 神奈川県民ホール
1/10(水)19:00 昭和女子大学 人見記念講堂
1/12(金)18:30 広島文化学園HBGホール
1/14(日)15:00 市川市文化会館
問:サンライズプロモーション東京 0570-00-3337
https://sunrisetokyo.com
他公演
1/6(土) 愛知/日本特殊陶業市民会館 フォレストホール(中京テレビクリエイション052-588-4477)
1/17(水) 札幌文化芸術劇場 hitaru(STV事業011-272-8659)
1/19(金) 新潟県民会館(NSTイベントインフォメーション025-249-8878)
1/20(土) 金沢歌劇座(MRO北陸放送開発事業部076-262-1717)