佐渡 裕(指揮) 新日本フィルハーモニー交響楽団

二人の作曲家が描いた生と死を見つめて

左より:佐渡 裕 ©Peter Rigaud c/o Shotview Artist/白鳥玉季 ©浦田大作/御喜美江 ©Marco Borggreve/石橋栄実

 佐渡裕は昨年度、新日本フィルのミュージック・アドヴァイザーを務めていたが、今年4月からは第5代音楽監督に就任し、いよいよ両者のコラボが深化する環境が整った。ウィーン・トーンキュンストラー管の音楽監督は9シーズン目に入り、関西では兵庫県立芸術文化センターの芸術監督も長く務めるが、これまで在京オケとはあまり縁がなかっただけに、ようやく東京でも定期的にその雄姿に接することができるようになったのは朗報だ。

 さて、来年1月の定期演奏会では、人間の生と死を見つめた二作品を並べた。まずは武満徹の「系図—若い人たちのための音楽詩—」。谷川俊太郎の詩集から武満が6篇を選びオーケストラ伴奏の朗読劇に仕上げた。語り手の視点は家族関係の暗部にまで及んでいくが、分かりやすい言葉で語られるまなざしのピュアさと、尊い何かを喚起させる音楽が聴き手を救い出す。武満は語り手に思春期の少女を想定していたが、今回起用される白鳥玉季は現在13歳とまさにうってつけ。各種ドラマでも評価される実力派だけに、「系図」の世界をどう表現するのか楽しみだ。クラシック・アコーディオンの世界的第一人者として知られる御喜美江も参加する。

 後半はマーラーがウィーン宮廷歌劇場の指揮者だった時代の交響曲第4番。彼の作品のなかでは規模が小さく、全体に明るく親しみやすい曲調が支配する。終楽章は天上の歓びと楽しさを描いた歌曲になっており、晴れやかで穏やかな気分のうちに全曲を閉じる。ソプラノを歌うのはベテラン・石橋栄実だ。
文:江藤光紀
(ぶらあぼ2023年12月号より)

第653回 定期演奏会
〈サントリーホール・シリーズ〉

2023.1/19(金)19:00 サントリーホール
〈トリフォニーホール・シリーズ〉
1/20(土)14:00 すみだトリフォニーホール
問:新日本フィルチケットボックス03-5610-3815 
https://www.njp.or.jp