東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団が2024-2025シーズンのプログラムを発表した。常任指揮者・高関健と、首席客演指揮者・藤岡幸夫を中心に、東京オペラシティでの定期演奏会9公演、本拠地のティアラこうとう定期演奏会4公演の全13公演を開催する。
2015年から常任指揮者を務める高関は、来シーズンが10年目となる。定期演奏会(ティアラ含む)には7回登壇。
第372回(24.9/6)は、2024年が生誕200年のブルックナーの交響曲第8番を取り上げる。21年に東京シティ・フィルとこの作品(ハース校訂による原典版)のCDをリリースしているが、今回は第1稿(新全集版ホークショー校訂)を使用。緻密な解釈が身上の高関は、前回と異なる版でこの曲をどのように表現するか。
翌月の第373回(24.10/3)は同じく生誕200年のスメタナの連作交響詩「わが祖国」。高関は15年の就任披露演奏会でも本作を取り上げ好評を博しており、このコンビでの再演に期待したい。
第377回(25.3/8)はヴェルディ「レクイエム」。21年の定期で演奏する予定だったがコロナ禍のため中止に。声楽付きの大作に満を持して挑む。独唱陣はソプラノ中江早希、メゾソプラノ加納悦子、テノール笛田博昭、バリトン青山貴が務める。
合唱が入る作品では他に、第77回ティアラこうとう定期演奏会のメインでオルフの世俗カンタータ「カルミナ・ブラーナ」を取り上げる。カップリングするのはニールセンのアラジン組曲で、この作品は今年10月のN響の定期で、体調不良のブロムシュテットに代わり、高関が指揮した作品。複雑な構成の本作を東京シティ・フィルとどのように描ききるか。
藤岡幸夫は定期演奏会(ティアラ含む)に3回登壇する。
第370回(24.5/11)では得意のイギリス作品からヴォーン・ウィリアムズの交響曲第2番「ロンドン交響曲」とディーリアス「夜明け前の歌」を取り上げる。人気と実力を兼ね備えたピアニスト福間洸太朗と共演するリストのピアノ協奏曲第2番も要注目。
第376回(25.2/14)はブラームスの交響曲第3番と、伊福部昭が釈迦の生涯をテーマに作曲した交響頌偈「釈迦」の2曲。日本人作曲家の作品の紹介にも力を入れる藤岡は伊福部をどのように聴かせるのだろうか。
客演陣では、第371回(24.6/29)に登場する鈴木秀美はモーツァルト《ドン・ジョヴァンニ》序曲、ベートーヴェンのピアノ協奏曲第3番(独奏:小山実稚恵)、シューベルトの交響曲第8番「ザ・グレート」を披露。3曲を通して時代の移り変わりを感じさせるような演奏が、鈴木のタクトから導かれるはずだ。
第374回(24.11/14)に登場する小林研一郎はチャイコフスキーの交響曲第4番と第6番「悲愴」の2曲を、ティアラこうとう定期第78回(24.9/21)では出口大地がオール・ロシアプログラムを披露する。
ソリストには、先述の小山や上原彩子(ティアラ第79回 24.11/23 プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第3番)ら実績のあるアーティストから、中野りな(ティアラ第78回 24.9/21 チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲)や奥井紫麻(第375回 25.1/17 サン=サーンス:ピアノ協奏曲第2番)ら勢いのある若手まで、多彩な顔触れが登場する。
東京シティ・フィルは芸術提携を結ぶ江東区のレインボータウンFM(88.5MHz)で放送中のラジオ番組「らじおけ。」や音楽鑑賞教室、区内小学校へのアウトリーチ活動など、地域に根ざした幅広い活動も特徴。
2025年の楽団創立50周年に向けて着実に歩を進める、10年目の高関&東京シティ・フィルの活躍に注目したい。
定期会員券 発売日
■会員先行:12/25(月)
■一般:24.1/10(水)
東京シティ・フィルのらじおけ。(レインボータウンFM 88.5MHz)
【放送日】
毎週水曜日 22:30~23:00
【メインパーソナリティ】
皆神陽太(ファゴット首席奏者)
吉武由夏(ヴァイオリン奏者)
東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
https://www.cityphil.jp