東京オペラシティ B→C 本堂誠(バリトン・サクソフォン)

気鋭の奏者が拓く低音楽器の新たな音世界

(c)Ayane Shindo

 バリトン・サクソフォンのイメージを一変させる奏者、それが2月の東京オペラシティ「B→C」で主役を務める本堂誠だ。1989年生まれの彼は、東京藝術大学やパリ国立高等音楽院等で学び、3つの国際コンクールや日本管打楽器コンクールで優勝後、ソロを中心に活躍している。サクソフォンの中でも低音・伴奏楽器と思われがちなバリトンだが、彼は「他の低音楽器よりも高い機動力を備え、温かく広がる響きと人の声に近い音域が耳に馴染みやすく、心地良く聴けるのが魅力的」と語る。実際その演奏は、極めて表現力が豊かで、この楽器ならではの低音の妙味とアルト顔負けの高音の豊潤さ、陶酔的な節回しなど、終始感嘆させられる。

 今回は、バッハの無伴奏チェロ組曲をはじめ、マウスピースを使わない作品や超特殊奏法を用いる作品、マリンバやコントラバス・フルートとの共演、ノイズやエレクトロニクスとともに創造する作品、そしてCDでも評判を呼んだドビュッシーなど、興味津々の演目がズラリ。楽器の可能性をとことん追求する気鋭のステージをぜひ体感したい。
文:柴田克彦
(ぶらあぼ2023年2月号より)

2023.2/21(火)19:00 東京オペラシティ リサイタルホール
問:東京オペラシティチケットセンター03-5353-9999 
https://www.operacity.jp