周防亮介(ヴァイオリン)

サントリーホールを舞台に挑む、注目の無伴奏リサイタル

(c)JUNICHIRO MATSUO

 ヴィエニャフスキ国際ほか数々のコンクールで好成績を残し、協奏曲やリサイタルで着実に実績を積んできたヴァイオリニスト・周防亮介が、1月に無伴奏リサイタルを行う。会場はなんとサントリーホールの大ホール。演目はバッハの無伴奏パルティータ第2番とパガニーニの「24の奇想曲」全曲だ。

 「ヴァイオリンを始めて20年、デビューして15年の節目の年に、こうした大きな舞台で弾かせていただけるのは光栄です。無伴奏プログラムにしたのは、21年夏にトッパンホールで『24の奇想曲』全曲等を演奏し、その後『無伴奏超絶技巧曲集』と『24の奇想曲』のCD録音を行うなど、最近弾く機会が増えていたから。なかでも『24の奇想曲』は、パワーのある若い時にこそ伝えられる作品であり、トッパンでの演奏後もまたいつかやりたいと思っていましたので、今回ぜひ入れようと。バッハのパルティータ第2番は、高校2年の時に日本音楽コンクールで(課題曲として)弾いた思い出の曲。荘厳な雰囲気がありますし、自分があの大きな舞台で弾いている姿を想像した時に、やってみたいと思いました」

 「24の奇想曲」は「あらゆる技巧が詰め込まれた」難曲だ。

 「技術面にフォーカスされがちですが、イタリア・オペラのアリアのような歌心が隠れている。私はそこを意識して、歌うように、軽やかに弾くよう心がけています。また24曲各々で異なるキャラクターを弾き分けるのも、演奏するごとに生まれる新たなアイディアを取り入れるのも面白いですね」

 今回は、全曲を通しで弾く点と、大ホールである点もポイントとなる。

 「曲集全体の流れがあると考えていますので、その点や曲の間合いを大事にしたい。また、大ホールだから大きな音で弾くのではなく、弱音の美しさを追求していきたいと思っています」

 ちなみに24曲の中で特に好きなのは「色々な表情がある第11番や第22番」とのこと。この点にも注目して聴いてみたい。

 バッハのパルティータ第2番も、通常ならメインにもなる名作だ。

 「大きな音楽に立ち向かうエネルギーが求められますが、作品自体には人間味が溢れていて、喜びや躍動感、嘆きや悲しみなど様々な感情が込められています。私はそうした色々な気持ちを表現したいですね」

 各楽団と多様な協奏曲を演奏しながら、前記2枚のCDもリリース予定で、23年3月の東京・春・音楽祭ではバッハの無伴奏全曲も披露するなど、本公演は充実一途の中で行われる。

 「今しかできない挑戦を、素晴らしい舞台でさせていただけるのが楽しみです。ぜひ多くの方に聴いていただき、温かく見守ってほしいと思っています」

 そう語る通り、弦楽器ファンならずともこの果敢なステージを生体験したい。
取材・文:柴田克彦
(ぶらあぼ2023年1月号より)

周防亮介 無伴奏ヴァイオリン・リサイタル 
2023.1/29(日)14:00 サントリーホール
問:サンライズプロモーション東京0570-00-3337 
http://miy-com.co.jp