大野和士が初登場! 多彩なプログラムが揃う充実の17日間
音楽の咲き乱れる春が、南国・宮崎へ戻ってくる。20世紀の名ヴァイオリニスト、アイザック・スターンが紡いだ瑞々しい響きが萌芽となり、毎年、見事な花をつけることとなった宮崎国際音楽祭。コロナ禍を受けて、昨年の26回は時期をずらして8月での開催となったが、27回目の今年は春の開催へと回帰し、4月29日から5月15日まで、メディキット県民文化センター(宮崎県立芸術劇場)を主会場として行われる。
「豊かな心の表現を伴った音楽を」との理念のもと、日本を代表するヴァイオリニスト・徳永二男が1996年、“最後の巨匠”と言われたスターンを招請し、「宮崎国際室内楽音楽祭」としてスタート。地元はもとより、各地から毎年やってくるファンに支持されて回を重ねてきた。今年も徳永が音楽監督を務め、「ふさぎこんだ世の中が、音楽の力で、少しでも明るい方に向かっていけたら…」(総監督の佐藤寿美)との願いをハーモニーに託す。
宮崎国際音楽祭の軸となるのが、「メイン・プログラム」(全5公演)。うち2公演で、当音楽祭には初登場となる国際派マエストロ・大野和士が、特別編成の宮崎国際音楽祭管弦楽団を振る。まずは、ドビュッシー「イベリア」「海」とラヴェル「クープランの墓」に、フランスの名匠ジャン゠エフラム・バヴゼを迎えてのバルトーク「ピアノ協奏曲第2番」を配した彩り豊かなプログラムを(5/8)。そして、ソプラノ中村恵理ら豪華ソリスト陣や新国立劇場合唱団とともに、ヴェルディ「レクイエム」の壮大な調べを響かせる(5/14)。
一方、音楽祭の“常連”でもある知将・広上淳一は、サン゠サーンス「交響曲第3番『オルガン付』」やレスピーギ「ローマの祭」「ローマの松」など、ダイナミックなサウンドを聴かせる(5/15)。俊英ヴァイオリニスト・三浦文彰の構成と選曲による室内楽公演には、元ウィーン・フィル・コンサートマスターのライナー・キュッヒルやチェリストのミッシャ・マイスキーら世界的巨匠が集い、シューマン「ピアノ四重奏曲 変ホ長調」など佳品を披露(5/13)。さらに、作曲家でピアニストの野平一郎が、今年でレコードデビュー60周年を迎えるビートルズを特集する、興味深いステージも(4/30)。
また、「スペシャルプログラム」(全6公演)の中で特に注目なのは、マイスキーによるバッハ「無伴奏チェロ組曲第1、3、6番」(5/9)。バヴゼは、ドビュッシーでダンスとのコラボに挑む(5/11)。そして、人間国宝の歌舞伎俳優・坂東玉三郎が語る音楽への愛に、演奏を交えるステージも(5/1)。また、1日のうちに開かれる7つのステージが、どれもワンコインで楽しめる恒例の「気軽にクラシック 500円コンサートの日」(5/3)も開催。今年も、ピアノの仲道郁代ら豪華な顔ぶれが出演する。
他にも、子どもを対象とするステージなどの教育プログラム、街角でのコンサートと盛りだくさん。宮崎市内にはとどまらず、ヴァイオリンの小林美樹ら8人の実力派女性奏者による弦楽八重奏(5/4、新富町)や、上野耕平を中心としたサクソフォン四重奏(5/5、小林市)といった、サテライト公演も開かれる。
文:笹田和人
(ぶらあぼ2022年5月号より)
2022.4/29(金・祝)〜5/15(日)
メディキット県民文化センター(宮崎県立芸術劇場) 他
問:宮崎国際音楽祭事務局0985-28-3208
http://www.mmfes.jp/2022/
※各公演の詳細、チケット発売状況は上記ウェブサイトでご確認ください。