リオネル・ブランギエ(指揮) 東京交響楽団

欧州を沸かす俊英が放つ極彩美

 この4月、東京交響楽団の指揮台に招かれるのはフランスの俊英、リオネル・ブランギエ。東響とは2019年に初共演して好評を呼んだ。ブランギエは05年に18歳でブザンソン国際指揮者コンクールで優勝して注目を集め、14年にチューリヒ・トーンハレ管弦楽団の首席指揮者・音楽監督に就任するなど、若くして国際的な注目を集める新世代の旗手だ。

 今回ブランギエが用意したのは、サロネンの「ヘリックス」、ラヴェルのピアノ協奏曲(独奏はリーズ・ドゥ・ラ・サール)と「高雅で感傷的なワルツ」、ストラヴィンスキーの組曲「火の鳥」(1919年版)を並べた色彩感豊かなプログラム。

 サロネンは指揮者としておなじみだが、作曲にも精力的に取り組んでいる。「ヘリックス」とは3次元空間における螺旋を指す。円錐のふもとから頂点までくるくると回りながら加速してクライマックスを築くといったイメージの楽曲だ。立体バージョンの「ボレロ」とでもいえるだろうか。

 ラヴェルのピアノ協奏曲ではフランスの若手、ドゥ・ラ・サールが独奏を務める。早くから注目を集め、ラ・フォル・ジュルネやPMFでたびたび来日しているドゥ・ラ・サールが、一段と成長した姿を披露してくれることだろう。同じくラヴェルの「高雅で感傷的なワルツ」、ストラヴィンスキーの「火の鳥」では、オーケストラの精緻な響きが生み出すエレガンスとダイナミズムを楽しみたい。

 引く手あまたの人気指揮者だけに、聴けるうちに聴いておかねば!
文:飯尾洋一
(ぶらあぼ2022年3月号より)

東京オペラシティシリーズ 第126回
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