英国の名匠と若きチャイコン覇者が共演する格別なプログラム
イギリスの名指揮者マーティン・ブラビンズが2年ぶりに都響に帰ってくる。ブラビンズは現在イングリッシュ・ナショナル・オペラの音楽監督を務めるベテラン。BBCプロムスやイギリス国内の主要オーケストラをはじめ、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団やサンフランシスコ交響楽団など国際的にも活躍する。日本では都響と共演を重ね、名古屋フィルでは首席指揮者も務めた。
ブラビンズにとって母国イギリスの音楽は欠かすことのできないレパートリーだが、もうひとつ彼が大切にしているのがロシア音楽。サンクトペテルブルク音楽院でイリヤ・ムーシンに指揮を学んだ経歴を持つだけに、ロシア音楽には格別の共感を寄せている。今回はそんなブラビンズならではのイギリス音楽とロシア音楽を組み合わせたプログラムとして、ウォルトンの前奏曲とフーガ「スピットファイア」、エルガーのチェロ協奏曲、チャイコフスキーの交響曲第6番「悲愴」が用意される。「スピットファイア」は映画音楽に由来し、威厳に満ちた前奏曲と活発なフーガからなる輝かしい作品。エルガーのチェロ協奏曲では、2019年、チャイコフスキー国際コンクールを最年少で制したズラトミール・ファンのソロに注目したい。ファンはブルガリア系と中国系の血をひくアメリカ人。次代のスター候補だ。「悲愴」はブラビンズが都響に初登場した際にも取り上げられている。一段と深化した「悲愴」を披露してくれることだろう。
文:飯尾洋一
(ぶらあぼ2022年1月号より)
*出演を予定していた指揮のマーティン・ブラビンズ、チェロのズラトミール・ファンは、新型コロナウイルス感染症に係る入国制限により、出演を見合わせることとなりました。(12/21主催者発表)
代わって指揮は尾高忠明、チェロは横坂源が出演いたします。
また、以下の通り曲目の一部を変更して開催いたします。
ディーリアス:歌劇『村のロメオとジュリエット』より間奏曲「楽園への道」
エルガー:チェロ協奏曲 ホ短調 op.85
チャイコフスキー:交響曲第6番 ロ短調 op.74《悲愴》
第940回 定期演奏会Cシリーズ
2022.1/17(月)14:00 東京芸術劇場 コンサートホール
第941回 定期演奏会Aシリーズ
2022.1/18(火)19:00 東京文化会館
問:都響ガイド0570-056-057
https://www.tmso.or.jp