【CD】花のアルバム L’album des fleurs/青柳いづみこ

 バロックから現代までの花のタイトルをもつ小品集。その選曲も、同時期に書籍『花を聴く 花を読む』を刊行する点も、マルチな才能を持つ青柳いづみこらしい。印象深い曲から書くと、まずシベリウス「花の組曲」。自然を愛したこの作曲家らしい細やかな神経が行き届き、豊かな楽想が散りばめられて、どこに行くのか読めないところも楽しい。シューマン「献呈」はよくあるリスト編曲ではなく、クララ編曲がいい。心のこもった歌い回しが美しく、詩が聴こえてくるかのよう。伊左治直「ルコウソウ」は快活で、聴いているとウキウキしてくる。タイユフェール「フランスの花々」は不思議な気配と味わい。
文:横原千史
(ぶらあぼ2022年1月号より)

【information】
CD『花のアルバム L’album des fleurs/青柳いづみこ』

クープラン:「クラヴサン曲集第4巻」より〈ケシ〉/タイユフェール:フランスの花々/チャイコフスキー:「四季」より〈雪割草〉/シューマン(C.シューマン編):「ミルテの花」より〈献呈〉/シベリウス:5つの小品(花の組曲)/高橋悠治:メッシーナのメボウキ 改訂版/伊左治直:ルコウソウ(縷紅草) 他

青柳いづみこ(ピアノ)

コジマ録音
ALCD-7271 ¥3080(税込)