ポーランドの旋律が響く重厚なサウンド
東京交響楽団音楽監督のジョナサン・ノットが10月の演奏会に続いて、12月の定期演奏会も指揮する。10月の演奏会では、デュティユーの交響曲第1番とモーツァルトの「レクイエム」を組み合わせた20世紀+18世紀プログラムで、「レクイエム」のなかにリゲティの無伴奏合唱曲「ルクス・エテルナ」を挿入して、聴き手のイマジネーションを刺激した。12月の演奏会では、ブラームスのピアノ協奏曲第2番とルトスワフスキの管弦楽のための協奏曲という、20世紀音楽とブラームスを組み合わせたプログラムが披露される。
20世紀ポーランドを代表する作曲家の一人であるルトスワフスキの「管弦楽のための協奏曲」(1954)は、バルトーク以降に書かれた同名の作品のなかで最も演奏機会の多いものに違いない。ルトスワフスキは、ワルシャワ・フィルからの委嘱に応えて、ポーランドの民謡を採り入れながら、オーケストラの能力を十分に発揮するような、合奏協奏曲的な作品を書いたのであった。ノットのもと、若く優秀な奏者も加わり、ますます演奏能力を高めている東響のヴィルトゥオジティ(妙技)を聴くには最適な作品であるといえるだろう。また、ノットの鮮やかな棒捌きも楽しみだ。シンフォニーにも匹敵する重厚で長大なこの作品では、ノット&東響の演奏にも注目したいものである。
文:山田治生
(ぶらあぼ2021年12月号より)
*本公演へ出演を予定しておりましたピアニストのニコラ・アンゲリッシュは体調不良により来日できなくなったため、代わって、ゲルハルト・オピッツが出演することとなりました。(11/18主催者発表)
第696回 定期演奏会
2021.12/4(土)18:00 サントリーホール
川崎定期演奏会 第84回
2021.12/5(日)14:00 ミューザ川崎シンフォニーホール
問:TOKYO SYMPHONY チケットセンター044-520-1511
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