日本を代表する作曲家の名作を継承し、新曲を世に送り出す
「結 MUSUBI 〜和楽器とオーケストラの共演〜」は、東西の美学の新たな出会いを体験できる異色のコンサートだ。注目は第2部の藤倉大の2作で、まず新世代の三味線界のホープ・本條秀慈郎による三味線協奏曲(2018)。本條は初演、アンサンブル版初演ともソリストを務めており、自家薬籠中のレパートリーだ。そして尺八界で頭角を現している黒田鈴尊による尺八協奏曲(2022)が日本でお披露目となる。こちらは今年フランスで世界初演されたばかりの新作だ。黒田は藤倉作品もしばしば手掛けており、両協奏曲の良き理解者である俊英たちのソロだけに、期待が高まる。
第1部には、柔和な響きに包まれた武満徹の「波の盆」(1996)、出会ユキが笙のソロを務める「セレモニアル」(1992)がプログラミングされた。
1930年生まれで96年に亡くなった武満と77年生まれの藤倉。西洋と東洋の出会いとその結びつきを世代が異なる作曲家たちがどのように表現するのか。ソリストたちの妙技と併せて、ぜひ堪能したい。
文:伊藤制子
(ぶらあぼ2022年11月号より)
2022.12/7(水)19:00 なかのZERO
問:WAN world.and.nippon@gmail.com
https://worldandnippon.wixsite.com/website