アンサンブル・ノマド 第72回定期演奏会
中心無き世界Vol.1 ジャズが運んだもの

独自の進化を遂げた、ジャズと西洋音楽の交わりを辿る

(C)Higashi Akitoshi

 名が体現している通り、どこかに留まることなく、様々な角度から攻め込んだ企画を取り上げ続けているアンサンブル・ノマド。

 今年度初回の定期演奏会は、大友良英をゲストに迎え、ジャズと西洋音楽の交わりから独自に進化していった音楽にフォーカスする。ラグタイムの影響下にあるストラヴィンスキー作品に始まり、ジャズバンドのために音列技法で作曲されてビル・エヴァンスらが初演したミルトン・バビット作品が続く。次に演奏されるポスト・ライヒ世代の「Bang on a Can All-Stars」がレパートリーとして世界各地で披露してきた牛島安希子の作品(ポストミニマルと70年代フュージョンの融合!?)は、藤倉大が主催するボンクリでも大好評だった楽曲だ。メインは大友の新作で、デューク・エリントンの楽曲を自由に再構成することにより、実際の歴史とは異なる、ありえたかもしれないジャズの進化過程を夢想するというもの。

 ポピュラー音楽との結合による、新たな音楽の可能性を体感する一夜となるはずだ。
文:小室敬幸
(ぶらあぼ2021年5月号より)

2021.5/12(水)19:00 東京オペラシティ リサイタルホール
問:キーノート0422-44-1165 
https://www.ensemble-nomad.com