いずみシンフォニエッタ大阪 第45回定期演奏会「飛翔する感性」

多彩なメニューと名技が光る愉悦のコンテンポラリー


 大阪を拠点にバラエティに富んだ現代作品を紹介してきた、いずみシンフォニエッタ大阪。第45回定期は大井剛史の指揮、上野耕平のサクソフォンにより、「飛翔する感性」というテーマで開催される。まず「せっかく大阪のオーケストラを指揮するのだから、大阪の作曲家の作品を」(大井)ということで、近年活躍めざましい酒井健治の「Photons」が選ばれた。きらきらする粒子の運動のような響きが、非常に洗練されたオーケストラ書法で表現される洒脱な一曲。技術的にも大変難しいサクソフォン・ソロと8つの楽器との対話も聴きどころである。もう1曲上野が吹くのが、ヒグドンのソプラノサクソフォン協奏曲。原曲はオーボエだが、「ソプラノサクソフォンのあったかい音と、ちょっとひんやりしたイメージにも合うと直感しました」(上野)という。多彩な音色を駆使する名手・上野の妙技が期待される。

 さて今回は“風変わりな”作品にも注目したい。同アンサンブルのプログラム・アドバイザーである作曲家の川島素晴の提案により、カーゲルの「DIVERTIMENTO?」がプログラミングされた。カーゲルは、演劇性や身体性を駆使した作品で知られる巨匠。この曲には、〈アンサンブルのための笑劇〉という副題がついている。「楽譜に細かい指示があり、『立つ』とか『〇〇を見る』とか『4歩歩く』とか…。舞台上でドタバタのアクシデントがずっと続く曲です」(大井)。どんなことが起きるかは、ぜひ実際の公演でご確認を!
文:伊藤制子
(ぶらあぼ2021年2月号より)

2021.2/6(土)16:00 住友生命いずみホール
問:住友生命いずみホールチケットセンター06-6944-1188 
http://www.izumihall.jp