【SACD】ヴィラ=ロボス:交響曲全集/カラブチェフスキー&サンパウロ響

 ブラジルの大作曲家ヴィラ=ロボスは、その芸術については未だ多くのことが知られていない。その象徴的な存在が、異才の迸るアイディアと情熱が古典的な形式に押し込められたような、ユニークな12曲の交響曲であろう(5番は楽譜消失のため欠番)。母国のマエストロと名門楽団による全集は、楽曲への共感と演奏の熱気がすばらしく、高い完成度でその全容を明らかにしている。各曲について詳述する余裕はないが、第一次大戦終結後の作で古典性と独創性を兼備して聴きやすい3、4番、シリアスで交響的な8、9番、合唱付きの10番と「マンドゥ=サララ」の高揚感が特に印象深い。
文:林 昌英
(ぶらあぼ2021年2月号より)

【information】
SACD『ヴィラ=ロボス:交響曲全集/カラブチェフスキー&サンパウロ響』

ヴィラ=ロボス:交響曲第1番〜第4番、第6番〜第12番、バレエ音楽「ウイラプルー」、マンドゥ=サララ

イサーク・カラブチェフスキー(指揮)
レオナルド・ネイバ(バリトン)
サウロ・ジャバン(バス)
サンパウロ交響楽団
サンパウロ交響合唱団&児童合唱団

ナクソス・ジャパン
NYCX-10179(6枚組) ¥5000+税