銀座ぶらっとコンサート #154 お昼の名曲サロン Vol.22

異色の編成が醸し出す美の系譜をたどる

鈴木康浩

 銀座4丁目に位置する王子ホールで、平日昼下がりに「銀ぶらの途中に立ち寄れる気軽なコンサート」として、150回以上も回を重ねている「銀座ぶらっとコンサート」。その中でも、読響のソロ・ヴィオラ奏者であり、トップクラスの実力と人気を誇る鈴木康浩が、仲間たちとともにアンサンブルを楽しく聴かせる「お昼の名曲サロン」は人気シリーズとなっている。1月の公演は、日本を代表するフルート奏者としてトップであり続ける工藤重典と、リリー・ラスキーヌ国際ハープコンクールで日本人初の優勝を飾った若きハープの名手、山宮るり子を迎える。

 「フルート、ヴィオラ、ハープ」といえば、やはりフランスのドビュッシーの傑作である。最晩年の1915年に完成した意外な組み合わせの「ソナタ」は、無二の表現と無類の美を示し、たった1曲でこの編成を定着させてしまった別格の存在だ。イギリスのバックスは、ほぼ同時期の翌16年、同編成で独特の神秘性をもつ「悲歌」を書いた。その後、欧州を中心に同編成の作品が生まれたが、92年に日本の武満徹が「そして、それが風であることを知った」で空気が揺れ動くような、静けさを湛えた音楽で新境地を拓いた。まさに20世紀が生み出した繊細な美の世界というべき3曲が並び、ドビュッシー「ベルガマスク組曲」抜粋編曲も挟まれるプログラム。ベテラン、中堅、若手と、各世代で各楽器を代表する3人の最高の美音でゆっくり味わえる、贅沢な銀座の午後となる。
文:林 昌英
(ぶらあぼ2021年1月号より)

2021.1/21(木)13:30 王子ホール
問:王子ホールチケットセンター03-3567-9990 
https://www.ojihall.jp