黒田亜樹(ピアノ)

困難な今だからこそ! 10人のピアニストの熱き想いをオンラインで発信

 イタリアを拠点に活動するピアニストの黒田亜樹。バロックから現代に至る幅広いレパートリーで国際的な演奏活動を展開し、指導者としても国際コンクールで目覚ましい成果を上げる生徒を次々と輩出している。2020年は新型コロナウイルスの影響により多くの音楽家が影響を受けているが、世界各国で活躍するピアニストの黒田の状況は特に深刻。演奏活動を大きく制限されている。そんな彼女が企画したのが「ピアノ DE トラベル」。10人のピアニスト(黒田亜樹、須藤千晴、小塩真愛、池田慈、鴇田恵利花、小林侑奈、大貫夏奈、三上結衣、保屋野美和、越加奈恵)が国内外11都市から演奏を届けるというものだ。

「今年はほとんどの演奏会がなくなってしまい、日伊間の往復も1回のみでした。配信コンサートやオンライン審査など、できることには取り組んできましたが、ようやくエンターテインメント業界に復活の兆しが…と思っていたところにミラノも再ロックダウンがきて…。音楽家としてできることは何か、と再び考えることになりました」

 やはり音楽家として前に進み続けなくてはならない、と決意を新たに、これまで様々な企画を共に手掛けてきた東音企画の福田成康氏とアイディアを練った。国際的移動制限の中で何ができるかと考えた企画は、多くの応募の中から「文化芸術収益力強化事業」に採択された。

「代官山 蔦屋書店にはピアノとプロジェクターが揃ったスペースがあり、そこから映像配信をします。当日この会場から生演奏をお届けしたり、収録した動画の配信も行う、ハイブリッド型のコンサートです。蔦屋書店はさまざまな人が訪れる、文化の中心とも言える場所です。ふと足を止めてくださった方が私たちの発信する音楽に耳を傾けてくれて、それがまた新しい何かを生み出していくきっかけになると思います。初回ですし、まだ“実験”段階ではありますが、きっと面白いものが生まれると思います」

 海外在住で、当日会場から参加できないメンバーは収録動画での参加となる。だが、そこにも新しい要素を取り入れたいと黒田は話す。
「今回“トラベル”ということもあり、その街ならではのものや歩くシーンを入れてほしいと伝えています。その場所の空気感や“いま”を届けることも重要だと考えています。メンバーそれぞれがいま頑張っていることを伝えるのと同時に、いま旅行に行くことが非常に難しい方々に旅行の気分も味わっていただけるのではないでしょうか。選曲もその土地にちなんだものを皆に考えてもらっています」

 アーティストとしてできることは何かを常に模索し、止まることなく新しい発信の在り方を見出していく黒田。この“実験”もまた、新たな道を切り開いていくことだろう。
取材・文:長井進之介
(ぶらあぼ2021年1月号より)

*緊急事態宣言の発令を受け、開演時間、出演者が変更となっております。(1/8主催者発表)

開演時間:19:30開演 → 17:00開演
出演者の変更:首都圏以外のライブ出演予定者は、移動を自粛し、リモート出演します。

詳細は下記ウェブサイトでご確認ください。


ピアノ DE トラベル
2021.1/22(金)19:30 代官山 蔦屋書店3号館 2階音楽フロア 【LIVE配信あり】
問:東音企画03-3944-1581 
https://eplus.jp/sf/streamingplus 
https://concertmanagement.to-on.com/concerts/11748
※会場観覧は限定30名