今こそ“苦悩から歓喜へ”、そして“安らぎの世界”へ

C)Marco Borggreve
今年創立30周年を迎えたBCJは、言うまでもなく世界的な古楽アンサンブルだが、近年は古典派以降の作品でも清新な名演を展開し、指揮の鈴木雅明はモダン・オケでも卓越した手腕を発揮している。それに彼らは2019年にベートーヴェンの「第九」を取り上げ、ピュアにして引き締まった、ヒューマンな表現を聴かせてもいる。よって今回の両曲への期待値は極めて高い。むろん宗教曲を得意とするソリスト陣と粒揃いの合唱も大きな強み。この公演を604席のホールで聴くのは実に贅沢だし、別日に行われる鈴木雅明のレクチャー(11/21)を聞けば、さらに理解が深まるであろう。
今こそ、作品誕生時の瑞々しい響きで、“暗から明へ”の世界を体感したい。
文:柴田克彦
(ぶらあぼ2020年11月号より)
2020.11/29(日)15:00 彩の国さいたま芸術劇場 音楽ホール
問:SAFチケットセンター0570-064-939
https://www.saf.or.jp
他公演
2020.11/28(土)東京オペラシティ コンサートホール(バッハ・コレギウム・ジャパン チケットセンター03-5301-0950)