記念年の締めくくりに、ドイツ・ピアノ正統派の巨匠による楽聖の調べを
ベートーヴェン生誕250年の締めくくりとなる年末、ドイツ・ピアノの正統派として知られるゲルハルト・オピッツが、ベートーヴェンのソナタを弾くリサイタル・ツアーを行う。なかでも東京公演で演奏するのは、最後の3つのソナタ。人類が困難に直面している今、ベートーヴェンが32のピアノ・ソナタで登りつめた崇高な音楽世界を通じ、「苦悩の先に見出した愛と光」を感じてほしい。そんな想いの込められた演奏会だ。
ソナタに加えて演奏されるのは「6つのバガテル」op.126。第32番のソナタよりもあとに書かれた、ベートーヴェン最後のピアノ曲でもある。大きなソナタとはまた違った側面から、作曲家が晩年にたどり着いた境地を聴くことができる。
1953年、西ドイツのバイエルンに生まれたオピッツは、ヴィルヘルム・ケンプをはじめとする師から受け継いだピアニズムとともに、ベートーヴェンらしさとは何かを追求しつづける貴重な存在だ。若き日には幅広いレパートリーを勉強し、ドイツもの以外を演奏することにももちろん喜びを感じるが、結局は「ベートーヴェンとつながる系譜の音楽が心にとても近いと感じ、人生において大切な存在に思える」と話す。
近年は、シューベルトやシューマンにまつわるプログラムに取り組んでいたが、記念年の今年、再びベートーヴェンに戻り、それも後期三大ソナタに向き合う。オピッツはそこに何を見出し、それを私たちとどのように分かち合ってくれるのだろうか。
文:高坂はる香
(ぶらあぼ2020年11月号より)
2020.12/11(金)19:00 東京オペラシティ コンサートホール
問:パシフィック・コンサート・マネジメント03-3552-3831
http://www.pacific-concert.co.jp
他公演
2020.11/22(日) 小金井 宮地楽器ホール(完売)
11/23(月・祝) アルカスSASEBO(0956-42-1111)
12/8(火) フィリアホール(045-982-9999) 10/18(日)発売
12/19(土) 霧島国際音楽ホール(0995-78-8000)
12/20(日) 岡崎市シビックセンター(完売) 他
※公演によりプログラムは異なります。詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。