第44回(2012年度)「サントリー音楽賞」と 第12回(2012年度)佐治敬三賞の贈賞式が25日、東京・赤坂のサントリーホールで行われ、藤村実穂子(サントリー音楽賞)、加藤訓子、宮田まゆみ(佐治敬三賞)がそれぞれ受賞した。

「サントリー音楽賞」(旧名・鳥井音楽賞)は、公益財団法人 サントリー芸術財団が1969年の設立以来、わが国における洋楽の振興を目的として、毎年、その前年度においてわが国の洋楽文化の発展にもっとも顕著な功績のあった個人又は団体を顕彰するもの。賞金は700万円。

受賞に際し藤村は「音楽家は、作曲家がどのような音を意図していたのかを想像し、表現します。人の声を聴こうとコンサートホールに足を運んでいただく方々のためにも日々の研鑽が大事です。当初ヨーロッパでは、アジア人でかつメゾソプラノということで、なかなか使っていただけず苦労しました。それでも、アバドやメータなどの巨匠たちが実穂子といっしょにやりたいとおっしゃってくださるようになり、今では藤村実穂子じゃないと指揮しないというオファーまでいただくようになりました。芸術には完璧はありませんが、よい音楽をよりよく歌うというのは可能です。今回の受賞は、これまでの辛かった、しんどかった経験に対しての労い、と同時に、もっとがんばりなさいと言ってくださっているような気がする。これからも精進したい」と喜びを語った。
「佐治敬三賞」は、わが国で実施された音楽を主体とする公演の中から、チャレンジ精神に満ちた企画でかつ公演成果の水準の高いすぐれた公演に贈られるもので、2001年度(平成13年度)公益財団法人サントリー芸術財団(代表理事・堤剛、鳥井信吾)により制定された。賞金は200万円。

加藤は「2000年からソロ活動を始め、がむしゃらにやってきました。10年すぎて少しだけ自分にできることやりたいことが見えてきました。それを一つずつ形にしてきた結果としていただけた賞だと思います。いまもまた新たなことにチャレンジしたいと思っています。これからもそうした一つ一つを積み重ねていきたい」と語った。

宮田は「もう一度ジョン・ケージさんに、そして、聴衆として集まっていただいたみなさんにも感謝を捧げたい。ケージさんは音への感動を呼び覚ましてくれました。これからも勉強し、音への感動、驚きをみなさんと共有していきたい」と語った。
■関連記事
第44回「サントリー音楽賞」にメゾソプラノの藤村実穂子
第12回佐治敬三賞に「Sep.5 2012 Thanks to John Cage」ほか