波多野聖子 ニューイヤーコンサート2020 with ポール・ポッツ

波多野とポッツの本格的な歌の博覧会で新春からパワーをもらえる


 「歌を通して架け橋を創る」がNY在住のソプラノ、波多野聖子のモットーだという。NYシティシンフォニーの専属ソリストとして、世界25ヵ国で歌い、27ヵ国語の歌のレパートリーを持つ波多野だから、言葉に実が伴っている。1月7日には日本語の歌のアルバム『桜YAMATOに』が発売される。そして、同日行われるコンサートで披露される曲は《ルサルカ》の〈月に寄せる歌〉をはじめ、パーセルの〈ヴァイオルをかき鳴らせ〉、プーランクの歌曲〈愛の小径〉、アリャビエフの歌曲〈夜鳴き鶯〉…。チェコ語、英語、フランス語、ロシア語と、歌の万国博覧会の様相で、まさに「架け橋」である。

 いずれも歌唱が本格的なのにはわけがある。「オペラもポップスも歌いながら、ジャンルを超える宇宙の理に適った発声があるはずだと信じて探求してきました」と語る波多野は、見つけたという。「それはイタリアのベルカント唱法でした。そして、やっとゴールが見えてきました。コンサートで披露する声をご期待ください」。

 携帯電話の販売員から一躍スターになった、あのポール・ポッツとの共演も大きな話題だ。一般の人にオペラなどの楽しさを伝える「架け橋」になった点でも波多野と通じるポッツ。「真心で歌われる波多野さんとのデュエットのほか、オペラアリアから映画音楽、ミュージカルナンバーまでお聴かせします」と語る。十八番の〈誰も寝てはならぬ〉も、もちろん含まれる。

 都内主要オーケストラの首席級が集結したアペルト弦楽四重奏団との共演も注目で、彼らのカルテットも大きな聴きどころとなる贅沢なコンサートだ。
文:香原斗志
(ぶらあぼ2020年1月号より)

2020.1/7(火)19:00 武蔵野市民文化会館
問:Seiko Lee Project N.P.O. 03-6455-3810