神尾真由子(ヴァイオリン)

互いに信頼し、高め合ってきた仲間たちとの五重奏

 2007年のチャイコフスキー国際コンクールの優勝以来、国内外で幅広い活躍を展開している神尾真由子は、近年室内楽にも目を向け、さまざまな音楽家との共演を楽しんでいる。そんな彼女が来春、「神尾真由子 with Friends」と題したコンサートで桐朋の同期生たちと共演する。プログラムは人気の高いボッケリーニと深遠さと歌謡性が凝縮したシューベルトの弦楽五重奏曲である。

 メンバーは神尾、滝千春(ヴァイオリン)、横溝耕一(ヴィオラ)、横坂源(チェロ)、富岡廉太郎(チェロ)。彼らは高校時代からの仲間で、お互いの音楽をよく理解している。現在はソロやオーケストラ、室内楽で活発な活動をしている人ばかり。日本を代表する若き逸材たちがボッケリーニ、シューベルトというまったく異なる曲想、表現、技巧、解釈を要する作品をどのように聴かせるのか、期待が高まる。神尾が作品について語る。

「私はようやくシューベルトが弾ける時期が来たと思っています。シューベルトは技術的にとても難しいのですが、今回は弦楽五重奏という特殊な編成を組むにあたって、ぜひ演奏したかった。とてもシリアスで深い作品ですが、みなさん技術的に素晴らしい方ばかりですから、限られたリハーサルでも大丈夫だと思います。メンバー構成を考慮し、組み合わせる作品としては、ボッケリーニしかないなと思いました。明るく親しみやすい作品ですから、前半と後半の雰囲気がガラリと変わって聴きごたえがあると思います」

 神尾とシューベルトの作品との出会いは、子ども時代に弾いたロンドなど。本格的には、学生時代にオーケストラ作品の授業での交響曲第7番「未完成」だった。その後、ソナチネやソナタも演奏するようになった。
「シューベルトは音が少ない分、難しいですね。音の並びはきれいですが、指のポジション移動も多く、アクロバティックな面もある。弦楽五重奏曲は内声も大切で、リハーサルからきちんと合わせないといけないのですが、みなさんもう10年以上のお付き合いですから、きっと息の合った演奏が生まれると思います」

 室内楽の魅力については…。
「自分がグループの一部になった気持ちがします。ハーモニーの一部といった方がいいかもしれません。各人の責任もありますし、それぞれ音程などの好みもあるため、それらを合わせていく過程も大切です。それが本番で見事に合ったとき、すばらしい瞬間が生まれるのです」
取材・文:伊熊よし子
(ぶらあぼ2020年1月号より)

神尾真由子 with Friends 
2020.3/25(水)19:00 浜離宮朝日ホール
問:朝日ホール・チケットセンター03-3267-9990 
https://www.asahi-hall.jp/hamarikyu/

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