フィリップ・トゥッツァー バッハ 無伴奏ファゴット・リサイタル

第一線オケのソリストを務める名手によるバッハ無伴奏


 たった1人で対峙する、バッハ父子の無伴奏作品。ファゴットという楽器の底力を、存分に知らしめることだろう。
 ザルツブルク・モーツァルテウム管弦楽団の首席奏者を務め、ソリストとしても国際的に活躍しているイタリア出身の名手、フィリップ・トゥッツァー。ウィーン国立音楽大学やハノーファー音楽演劇大学に学び、2008年には“超難関”で知られるARDミュンヘン国際音楽コンクールで第2位入賞を果たした。

 ソリストとしては、ベルリン・フィルハーモニーやウィーン・ムジークフェラインなどの檜舞台へも登場。ベルリン・フィルやミュンヘン・フィルなど、第一線楽団にもゲスト奏者として客演を重ねている。モーツァルテウム管弦楽団の同僚らと結成した「ファゴット・トリオ・ザルツブルク」のメンバーとしても、精力的に活動。後進の指導にも力を注いでいる。

 今回のステージは、大バッハの不朽の傑作「無伴奏チェロ組曲」から第1番と第4番が軸に。原曲にあっては、旋律と通奏低音の二役を演じることが求められ、時に重音の使用も。単音で奏するファゴットでは、いかにポリフォニーを“暗示”するのか。浮上する新たな課題へ立ち向かう、名手の創意に要注目だ。

 ここへ、大バッハが無伴奏フルートのために書いた「パルティータ イ短調」(BWV1013)と、同じく次男カール・フィリップ・エマヌエルによる「ソナタ イ短調」(Wq132)を披露する。共にニ短調に移調され、温かく滋味あふれる低音で奏される佳品は、全く新たな印象を聴き手へもたらすはず。
文:寺西 肇
(ぶらあぼ2020年2月号より)

2020.2/12(水)19:00 JTアートホール アフィニス
※公演日が、当初発表されていた2/14から2/12に変更になりました。
問:パシフィック・コンサート・マネジメント03-3552-3831
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