いかにも挑発的な『アドルフに告ぐ』なるタイトルのアルバムをリリースしてから5年、ここに上野耕平は同第2弾を放つ。上野のために書かれ世界初録音となる逢坂裕と藤倉大による2曲、そしてすでにサクソフォン奏者のレパートリーとして広く膾炙したデュクリュック、トマジ、マルタンの3曲を収録。捨て曲なし、全て必聴曲であり超絶的な演奏と断言しうるが、中では逢坂作品の技巧的でラプソディックな曲想をおよそムラのない技巧と美音で吹き切る様に、そしてマルタン作品における息の長い楽想を大きなフレーズ感覚で構築する胆力に驚嘆。藤倉作品では林英哲との共演!
文:藤原 聡
(ぶらあぼ2020年2月号より)
【information】
CD『アドルフに告ぐⅡ/上野耕平』
逢坂裕:ソプラノサクソフォンとピアノのためのソナタ エクスタシス/フェルナンド・デュクリュック:ソナタ 嬰ハ調/トマジ:バラード/マルタン:バラード/藤倉大:ブエノ ウエノ
上野耕平(サクソフォン)
山中惇史(ピアノ)
林英哲(和太鼓)
日本コロムビア
COCQ-85478 ¥3000+税