蒲生克郷 & 花崎淳生(ヴァイオリン/エルデーディ弦楽四重奏団)

2大楽聖の中期と晩年の傑作に挑む

©成澤 稔

 エルデーディ弦楽四重奏団は、2018年に第一生命ホールでベートーヴェンの後期弦楽四重奏曲のシリーズを完結させ、19年からは同ホールでベートーヴェンの中期とモーツァルトの晩年の弦楽四重奏曲に取り組む。その初回となる2月のコンサートについて、第1ヴァイオリンの蒲生克郷と第2ヴァイオリンの花崎淳生に聞いた。

 今回取り上げるのは、ベートーヴェン「ラズモフスキー第2番」とモーツァルト「プロイセン王第1番」。
蒲生「ベートーヴェンの後期の演奏を終えて、今度は非常に充実している中期を取り上げたいと思いました。ラズモフスキー3曲のなかで、第2番は特に情緒的でスタイルが個性的。その上唯一短調で書かれています。僕らがアマデウス弦楽四重奏団の講習(1990年〜92年)を受けたときに、最初に弾いたのがラズモフスキーの第2番で、思い出のある曲です。この曲のレッスンのあと、家に帰って彼らのレコードを聴いたら、レッスンで言っていたこととすべて同じでびっくりしたのを覚えています。彼らは細かいことよりも解釈の要についてしっかりと教えてくれました」
花崎「ベートーヴェンは美しいだけでは充分ではなく、真実がなければならない、ともおっしゃっていましたね」
蒲生「『プロイセン王』、特にこの公演で演奏する第1番は、プロイセン王がチェロを嗜んでいたので、モーツァルトはチェロ・パートに華を持たせています。華を持たせるとは、チェロが高い音域を弾くことであり、そのために低音が薄くなって、和音が密集して、派手さがなくなるのです。ですからハイドン・セットよりも演奏される機会が少ないのかもしれませんが、決して曲の価値が低いわけではありません」
花崎「『プロイセン王』は響きが薄くなり、透明になりますね。ハイドン・セットはものすごく密度が濃いのですが、『プロイセン王』になると、書法が簡潔になり、ハイドン・セットにはなかった魅力もあります。モーツァルトの第2ヴァイオリンは、役割、立場が目まぐるしく変わるので、ついていくのが大変ですが、非常に面白くやりがいがあります」

 また、両作品の間にはイベールのクァルテットを挟む。
蒲生「フランスには、ドビュッシーやラヴェルのほかにも名曲があることを知っていただきたく、イベールの弦楽四重奏曲を取り上げます」
花崎「明快な音楽です。第3楽章ではドビュッシーやラヴェルのピッツィカートの伝統が聴かれますね」

 最後に、エルデーディ弦楽四重奏団の特徴について聞いた。
蒲生「みんな真面目なんですね。個人個人が“堅物”なのです(笑)」
花崎「作曲家の書いた作品を伝えるのが自分たちの一番の役割であるということで一致しています。その大前提があるので、最終的に互いに寄っていけます」
取材・文:山田治生
(ぶらあぼ2019年2月号より)

クァルテット・ウィークエンド2018-2019 エルデーディ弦楽四重奏団
〜ベートーヴェン充実の中期とモーツァルト純化の晩年〜
2019.2/23(土)14:00 第一生命ホール
問:トリトンアーツ・チケットデスク03-3532-5702 
http://www.triton-arts.net/

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