【指揮者変更】2018北九州国際音楽祭

国際的演奏家が北九州を彩る豪華な音楽祭

*指揮者変更のお知らせ
サンクトペテルブルグ・フィルハーモニー交響楽団公演で指揮を予定していたユーリ・テミルカーノフは、健康上の理由により、やむなく降板することになりました。代役として同オーケストラ指揮者(副芸術監督)のニコライ・アレクセーエフが指揮を務めます。詳細は下記ホームページをご確認ください。
http://www.kimfes.com/

 九州の秋の音楽シーンを彩る「北九州国際音楽祭」が、今年も豪華なラインナップで開催される。ここでは、バラエティに富んだ公演の中から、お薦めのコンサートをピックアップしよう。

“音楽祭名物”若手とベテランの混合オケ、そしてロシアの名門が登場

 当音楽祭オリジナル企画の目玉が「マイスター・アールト×ライジングスター オーケストラ」(11/23)。北九州市出身のN響第1コンサートマスター・篠崎史紀をはじめ、国内主要オーケストラの首席奏者クラスが居並ぶ「マイスター・アールト組」と、オーディションで選ばれた優秀な若手演奏家による「ライジングスター組」が、交歓しながら作り上げる、まさに“ここでしか聴けない”コンサートだ。指揮者を置かずに、篠崎のもとで丁々発止のリハーサルを重ねた、自発的なアプローチによる生気溢れる演奏は魅力十分。演目が、人気・実力ともに日本最上位のピアニスト、小山実稚恵をソリストに迎えたベートーヴェンのピアノ協奏曲「皇帝」と、同じく「英雄」交響曲の大作二本立てとなれば、エネルギッシュな快演が期待されるし、この大規模な2曲の指揮者なしの演奏は、それ自体が見ものとなる。
 外来組では、「ユーリ・テミルカーノフ指揮サンクトペテルブルグ・フィルハーモニー交響楽団」(11/18)がビッグな注目公演だ。今年80歳を迎える巨匠と、200年を超える伝統を誇る名門の、30年に及ぶ“ロシア横綱”コンビは文句なしの聴きもの。その緊密かつ艶美かつ壮大な音楽は、無類の充足感を与えてくれる。今回の主軸はラフマニノフの交響曲第2番。ロマン濃厚なこの大曲を、ロシア最高峰のサウンドで堪能できるのは、嬉しい限りだ。そして、深化を続ける辣腕ヴァイオリニスト、庄司紗矢香も出演。彼女の長年の理解者たるマエストロのもとで奏でるシベリウスの協奏曲も見逃せない。

内容満載の室内楽やリサイタルからも目が離せない

 室内楽の醍醐味に浸りたい方には、「竹澤恭子、原田禎夫、萩原麻未 トリオ」(10/13)がお薦め。今年デビュー30周年を迎えた世界的ヴァイオリニスト・竹澤は、豊潤な音色でパッショネイトな演奏を聴かせ、東京クヮルテットの創設メンバーとして30年間活躍したベテラン原田は、むろん堅牢なアンサンブルを形成する。萩原は、2010年ジュネーヴ国際コンクールで優勝後、内外でソロや室内楽でも精力的に活動している若き実力派ピアニスト。共演者と楽曲を引き立てながら個性を打ち出す抜群のセンスと、精彩に富んだ表現は特筆に値する。世代を超えた3人がいかなるトリオ演奏を披露するのか興味津々。プログラムも、ラフマニノフの第1番「悲しみの三重奏曲」やメンデルスゾーンの第1番といったピアノ三重奏曲のロマンティックな名作が中心ゆえに、濃密な楽興の時を満喫できるであろう。
 デュオの魅力を味わうならば、「諏訪内晶子リサイタル」(10/28)。チャイコフスキー国際コンクール優勝から早28年、諏訪内は国際的な名ヴァイオリニストの座を揺るぎないものにしている。「国際音楽祭NIPPON」の芸術監督の経験も演奏に深みを加えた今、そのリサイタルは傾聴に値する。今回は、パリを本拠にモダンピアノとフォルテピアノの双方で活躍する金子陽子との共演。ベートーヴェンのソナタ中心の演目は、古楽を識る金子との化学反応も含めて期待を募らせる。今年は、日本を代表する世界的ヴァイオリニストの聴き比べも大きな妙味。
 このほか、ジャズの巨匠チック・コリアのソロ、美術館で聴く西山まりえのチェンバロの調べ、人気バリトンの小森輝彦によるサロン・コンサート、フランスの名ピアニスト、ミシェル・ダルベルトのドビュッシー没後100年記念公演など、多彩なコンサートが続くので、期間中は目を離せそうにない。
文:柴田克彦
(ぶらあぼ2018年10月号より)

2018.10/13(土)〜11/23(金・祝) 北九州市立響ホール、アルモニーサンク北九州ソレイユホール、北九州市立美術館・本館 他
問:北九州国際音楽祭事務局093-663-6567 
http://www.kimfes.com/
※音楽祭の各公演の詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。

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