夏休みはオーケストラのサウンド・シャワーをたっぷり浴びよう!
再開発が進むJR川崎駅とその周辺だが、クラシック音楽ファンにとってはミューザ川崎シンフォニーホールの存在がマスト。首都圏のオーケストラが一堂に会する真夏の音楽祭として、人気・注目度ともに定着している「フェスタサマーミューザ」が、今年もまた7月から8月にかけての約3週間、このホールを中心として開催される。
クラシック音楽の王道プロにジャズも彩る
毎年人気が高いオープニング(7/21)とフィナーレ(8/12)には、このホールをホームとする東京交響楽団が登場。前者はジョナサン・ノットの指揮、後者は秋山和慶の指揮により、ジャズ・テイストの作品やバーンスタインの曲を含むアメリカ音楽のプログラムが組まれる。ジャズ・ファンには、オープニング・コンサートにも出演するトロンボーンの中川英二郎や、ボサノヴァ・シンガーの小野リサらが出演する「サマーナイト・ジャズ」(7/28)がおすすめだ。
新日本フィルハーモニー交響楽団(7/22)と東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団(7/29)は、ベートーヴェンやブラームスほかドイツ音楽プロを。東京フィルハーモニー交響楽団(7/24)と神奈川フィルハーモニー管弦楽団(8/3)は、ドビュッシーやラヴェル、サン=サーンスなどフランス音楽プロを演奏。クラシックの王道を聴きたい方にはおすすめだ。
新人指揮者やフランスの名匠、人気若手ピアニストが続々と登場
NHK交響楽団(8/4)はアシスタント指揮者の熊倉優を大抜擢し、ショスタコーヴィチの交響曲第10番ほかを。新しい才能の誕生に立ち会えるだろう。東京都交響楽団(8/5)がマルク・ミンコフスキを迎えてチャイコフスキーの「くるみ割り人形」(合唱付き、ほぼ全曲)を演奏する日も、意外なレパートリーゆえに聴き逃せない。また日本フィルハーモニー交響楽団(8/9)は、名匠渡邉暁雄ゆずりのシベリウスを愛弟子の藤岡幸夫が指揮するほか、人気ピアニストの反田恭平が世にも珍しいラフマニノフのピアノ協奏曲第5番(!)を演奏するとあって注目が集まる。
オペラ版紅白歌合戦から映画音楽まで多彩なメニュー
ユニークなのは曽我大介と東京ニューシティ管弦楽団(8/10)。オペラの紅白歌合戦的なノリで盛り上がり、聴衆参加の人気投票によってスター歌手を選ぶ。オペラ・ファンなら必聴必見のひとときだ。読売日本交響楽団(8/1)は昨年に続き、渡辺俊幸を指揮者に迎えて映画音楽ほかを。シンガーソングライターの森山良子が今年もゲスト出演し、爽快な歌声を聴かせてくれる。
そのほか、バッハの権威である鈴木雅明がパイプオルガンを演奏し、J.S.バッハの名作をじっくり聴かせる「真夏のバッハⅢ」(8/11)も、オーケストラ以外の公演として注目。ピアノを習っているお子様がいらっしゃるなら、小川典子による人気コンサート「イッツ・ア・ピアノワールド」(8/11)をおすすめしたい。川崎市内の2つの音楽大学も、この音楽祭のレギュラー。谷桃子バレエ団ほかと共演する洗足学園音楽大学のラヴェル・プロ(7/27)、シェイクスピアというキーワードで選曲した3つの作品が聴ける昭和音楽大学(8/8)、どちらも新鮮な音楽が楽しめるだろう。ミューザ川崎を離れ、小田急線の新百合ヶ丘にある昭和音楽大学でも、2公演が行われるので、そちらも覗いてみたい。
公開リハーサルやメンバーによるプレ・コンサートなどもあり、楽しみ方はいろいろ。チケットも各種の「セット券」購入で、お手軽に楽しめる可能性大だ。まずはウェブサイトなどで詳細な情報を!
文:オヤマダアツシ
(ぶらあぼ2018年7月号より)
2018.7/21(土)〜8/12(日)
ミューザ川崎シンフォニーホール、昭和音楽大学テアトロ・ジーリオ・ショウワ
問:ミューザ川崎シンフォニーホール044-520-0200
http://www.kawasaki-sym-hall.jp/festa/