【CD】菅原明朗 器楽作品集 /澤田まゆみ&印田千裕&印田陽介

 1897年生まれの菅原明朗は90歳を超え亡くなる直前まで旺盛な創作活動を続けた。本盤は古代日本の幻想をドビュッシー風に描いた戦前のピアノ独奏曲「白鳳之歌」で始まるが、この後に収録された3作はどれも大らかで自由な作風を示している。ヴァイオリンとピアノのための「バラード」はモダンな曲調の中に日本風の旋律やワルツがぼんやりと浮かび上がる。「三つの断章」(ヴァイオリン独奏)、「無伴奏セロ・ソナタ」はバッハやヒンデミットを連想させたかと思えば、民謡風の香りを漂わせてゆったりのびやかに歌う。戦前のモダニズムが人知れず独自の境地を切り開いていたことを発見。
文:江藤光紀
(ぶらあぼ2018年7月号より)

【information】
CD『菅原明朗 器楽作品集/澤田まゆみ&印田千裕&印田陽介』

菅原明朗:白鳳之歌、三つの断章、バラード、無伴奏セロ・ソナタ、ブルゴーニュ〜3つのピアノ小品〜より

澤田まゆみ(ピアノ)
印田千裕(ヴァイオリン)
印田陽介(チェロ)

収録:2017年10月、豊洲シビックセンターホール(ライヴ)
ミッテンヴァルト
MTWD-99065 ¥3000+税