トッパンホール18周年 バースデーコンサート フォーレ四重奏団

室内楽の醍醐味全開の2夜

C)Mat Hennek

 いま聴くべき室内アンサンブルを挙げるなら、一番手に推したいのがフォーレ四重奏団だ。個々の奏者もグループとしても比類のない技術力とセンスを有し、演奏には室内楽の醍醐味と音楽の喜びが漲っている。そんな彼らが、トッパンホールの2018/19シーズンの開幕コンサートを、16/17シーズンに続いて受け持つ。この“弦のトッパン”の重用こそ、“聴くべきアンサンブル”の証明だろう。
 フォーレ四重奏団は、世界でも稀な常設のピアノ四重奏団。1995年、ドイツのカールスルーエ音楽大学卒の4人によって結成され、23年間不動のメンバーで活動している。臨時編成が通例化したピアノ四重奏は、真髄に触れる機会が少ない。しかし常設活動が長い彼らは、4人対等の絶妙なバランスと一体感をもって、精緻かつ大容量の音楽を聴かせる。特に2014年当ホールにおけるブラームスの第1番は圧巻の一語。情熱や悲哀を振幅豊かに表出し、圧倒的なスケール感と迫力を生み出した。
 今回は2夜にわたる開催で、多彩な魅力が披露される。第1夜は、前回好演の第2番に続くモーツァルトのト短調の名品=第1番、お得意のメンデルスゾーンの第2番、華やかで美しいシューマンの四重奏曲が並ぶロマンティックな名曲集。第2夜は、当団のピアノ奏者ディルク・モメルツ編曲のラフマニノフ「音の絵」(抜粋)という興味深い演目で始まり、団名にその名を冠したフォーレの第1番、そして看板ともいうべきブラームスの第1番が続く個性全開の内容。かのアルゲリッチが「誰でも必ずまた聴きたくなる」と絶賛した四重奏団の真価を存分に堪能したい。
文:柴田克彦
(ぶらあぼ2018年7月号より)

Program Ⅰ 2018.10/1(月)19:00 
Program Ⅱ 2018.10/5(金)19:00
トッパンホール
問:トッパンホールチケットセンター03-5840-2222 
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